鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

AIに関しては倫理や道徳を考えなきゃいけないまでに現実的になってきたということかな?:読書録「AI以後」

・AI以後  変貌するテクノロジーの危機と希望

著者:丸山俊一+NHK取材班

出版:NHK出版新書

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正直、「AI」に関する本はソロソロ遠慮しとこうかな、と思ってたんですけどねw。

本書はEテレで放送された「人間ってナンだ?超AI入門」の特別編を書籍化したもの。

番組は見てないんですがw、この制作班(「欲望の資本主義」とか作ってる)はなかなか面白い番組を作ってるので、読んでみる気になりました。

 


取り上げられているのは四人の学者のインタビュー。

それぞれ宇宙物理学者(マックス・デグマーク)、倫理学者(ウェンデル・ウォラック)、哲学者(ダニエル・デネット)、編集者(ケヴィン・ケリー)と、「AI」についてはエンジニアや開発者、IT起業家等の「本職」じゃなくて、その周辺、どちらかというと「哲学」系の研究をしている人物に語ってもらっています。

…って僕が知ってるのは「テクニウス」のケヴィン・ケリーくらいでしたがw。

 


四人とも共通するのは、

「AIが社会的に広く浸透する時代が来るのは間違いない」

という点。

汎用AI(AGI)の可能性についても(定義や強弱はあるにしても)かなり実現性があると読んでいます。

その前提で、

「じゃあ、そこで<倫理>や<哲学>はどのように扱われるのか?」

と言うことが語られ、

「<人間>とは何か?」

と言う問いについて、結局は考察することになる…と言う流れになっています。

楽観的(デグマーク、ケリー)、悲観的・懐疑的(ウォラック、デネット)の幅はありますがね。

 


僕自身は「AGI」については懐疑的です。

ただその前段階として「AI」が社会仕組みの中にドンドン組み込まれ、一種の社会インフラになっていく…と言うのは間違いないと考えています。

「いい/悪い」を論議する前に、そういう状況は止める間もなく進んでいく、と。

 


そういう観点からは、

「(AGIをはじめ)問題が起きてから考えよう」

と言うのは既に遅い。

その認識のもとに、こう言うことをいろいろな切り口から考える人が出てくるって言うのは、「ありうべし」だし必要なことなんだと思います。

 


…とか言って、言ってることは結構難しかったですけどねw、四人とも。

言ってみれば「合理性」とは違うところを追求してるわけですから。(若干、デグマークは合理的に整理できると言うスタンスのようですが)

話を聞いてると、若干「空中戦」っぽくも。

でもそういうことを考えて行かなきゃいけないってことだし、そこに「人間性」が問われることになるってことなのかもしれません。

 


しかしまあ、色々言われるし、問題点があるのも確かだと思いますが、こういう番組を作ることができるって言う点で「NHK」ってのは特筆すべき組織ですね。

やっぱりこういう存在をなくすのは、日本にとってはマイナスだろう…と言うのが個人的な感想。

それに代わる存在が見当たらないですからねぇ。