鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

面白いやん:読書録「探偵が早すぎる」

・探偵が早すぎる<上・下>

著者:井上真偽

出版:講談社タイガ(Kindle版)

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もともとはこっちの方を読もうかと思ってたんですけどねw。

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そこに本作の「ドラマ化」のニュースが入ってきて、こっちに切り替え。

https://eiga.com/amp/news/20180530/2/

ミーハーなものでw。


「本格推理」の場合、

トリックがアクロバティックになればなるほど、リアリティが失われて白々しくなる。

でもリアリティーを重視し始めると、トリックとしての新しさや面白味は減退してしまう。

…という二律背反があります。

まあ、「それでもトリック優先!」ってのが本格好きの本領なのかもしれませんがw、僕自身は「う~ん…」ってコトが少なくありません。


そこを本作は「シチュエーションのリアリティを犠牲にする」という手で、トリックのリアリティーのなさを誤魔化すw方策に出ています。。

ここら辺、登場人物の名前に如実に出てますね。

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で、次から次にトリックを打ち出していくことで(特に下巻はテンコ盛り)、一つ一つのトリックの精度を云々するスキを与えてくれませんw。

この怒涛の展開の末に、キャラクターの<正体>で、オチをつけるという構成。

いやぁ、楽しませてもらいました。

リアリティのないシチュエーションで本格推理の舞台を作る…ってのはソコソコ使われてる手だと思うんですが、この「物量作戦」とキャラクターの造形で、本書はエンタメとして一頭地抜け出た感じです。


この作者は2014年デビューの作家さん。

年齢・性別は公表されてないようですが、若いんじゃないかな?

ま、どうであれ、なかなか興味深い新人さんです。(とか言って、既に賞候補の常連のようですが)

気になってった「その可能性はすでに考えた」の方も読んでみようかな。

本作の「続編」も読みたいですな。

(逆にちょっと「ドラマの方はどうすんのかな?」って感じもあるんですが)