鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

現実的なラインはこの線かな:読書録「AI時代を生き残る仕事の新ルール」

・AI時代を生き残る仕事の新ルール
著者:水野操
出版:青春新書


一時期AI絡みの本は集中して読んだので、「当分いいかな」と思ってたんですが、最近メガバンクの業務改革(一部はリストラ)関係の報道が増えてて、「ちょっとアップデートしたほうがいいのかな?」と思い直して手に取った作品。
(ただIR説明会を聞いてたら、「メガバンクに比べて御社は早めに業務効率化へのIT投入はして来た」との発言があって(おべんちゃらかも知れませんがw)、なんもかんもが銀行先行で動いてる訳でもないか、と考えたりもしてます)


本書では具体的な仕事・職種を挙げて、それぞれがAIにどういう業務を代替される可能性があるか、AIの活用はどういう風にされるか、について推論しています。


<現在使用されている、あるいは近い将来開発されるであろうシステムは弱いAIで、特定の限られた機能については圧倒的に強力な力を持つが、人間が普段やっている仕事を総合的にこなすことがはできないというのが著者の現時点での結論だ。>


じゃあ、「今のままで安心してればいいのか」と言われると、もちろんそんなことはなくて、多かれ少なかれ(この度合いが仕事別・職種別に推論されてるんですが)AIあるいはIT/IoTが業務の中に入ってくることは、経営の合理的判断、あるいは労働不足対策の面からも不可避であるとも指摘されています。
その流れの中で「生き残る」には、「AIリテラシー」が必要であり、それが労働者としての「存在価値」につながるだろう、と。


作者はシンギュラリティには懐疑的ですが、そもそもシンギュラリティが本当に来てしまったら、それこそあらゆる分野がゲームチェンジャーに晒される事になるでしょうから、今から考えててもどうしようもないってのもあります。
そういう観点からは、この作者のスタンスが、現時点においては「現実的」であると、僕も思いますね。


<大事なのはAIを使ったサービスやソフトをつくるのであれ、あるいはAIを使った業務プロセスを構築するのであれ、それらをつくり上げる立場にいるということだ。
AIはどのように仕事を奪うのか、あるいはAIによってどのような新しい仕事が生まれるのか、という予言を人にしてもらうのではなく、むしろ、AIでこのようなことを実現したいと言い放ち、かつそれを実現することが重要だ。人に予言をしてもらうのではなく、自ら予言の自己成就をするのだ。>


AIがデバイスに搭載される(あるいはデバイスを通じてAIにリーチできる)ことによって、真の意味で「機械が個人をエンパワーする」世界が身近になるのかも知れない。
…ってのは、ちょっと最近SFを読んだり、見すぎたりしてるせいかも知れませんがw、どうせならそうなって欲しいじゃないですか。
そういう転換点にいる、あるいは「今」をそういう転換点にすべく行動する…そんな風になれたらカッコイイんですがね〜。