鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

新本格派は敬遠気味だったので:読書録「名探偵傑作短篇集 法月綸太郎篇」

・名探偵傑作短篇集 法月綸太郎篇」
著者:法月綸太郎
出版:講談社文庫


新本格ミステリ30周年企画」ということで講談社文庫から出版された「名探偵傑作短篇集」シリーズの一冊。
他は「御手洗潔」篇と「火村英生」篇になります。


僕自身は「占星術殺人事件」は興味津々で読んだものの、「新本格ミステリ」自身にはあんまりハマれなかったほう。
もともと「明智小五郎」(少年探偵団)から入って、クリスティ、横溝正史なんかは読み漁ったんですが、20前くらいからはハードボイルド。冒険小説の方にスライドしてたんで、あまり食指が動かなかったんですよね。
特にエラリー・クイーンは、推理小説ドップリの頃も今ひとつ肌合いが合わない印象があったので(悲劇シリーズは好きでしたが)、クイーン・オマージュが強い「法月綸太郎」はほとんど読んでないですね。(「頼子のために」は読んだ気もするんですが、全然ストーリーは覚えてませんw)


まあそれもあって、3冊の中からコレを選んだんですが、読んでみると結構面白い。
短篇集なんでちょうど良いってのもあるんですが、もっとゴリゴリのパズルかと思ってたら、(もちろんそういう向きはあるんですが)予想以上に「余韻」のある展開になっています。
後期クイーン問題」っていうのはよく知らなかったんですが(「災厄の町」も読んでません…)、アクロバティックなパズル的推理の根本に疑念を投じたこの考え方に作者も取り組んでいて、そこら辺がこう言うスタンスに影響してるのかもしれません。


とは言え、特に小難しい話になるわけでもなく、エンタメ的な枠組みはシッカリ維持されていて、楽しめるようになってますから、僕としては「ちょうどいい塩梅」って感じでした。
「じゃあ、長編も」
ってトコまでは行きませんがね。