鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「世界観が変わる」ってことのSF的表現とでも申しますか:読書録「あなたの人生の物語」

・あなたの人生の物語
著者:テッド・チャン 訳:浅倉久志・その他
出版:ハヤカワ文庫(Kindle版)

あなたの人生の物語

あなたの人生の物語


テクニカル・ライターでもある著者のSF短編集。
表題作の「あなたの人生の物語」が映画化(「メッセージ」)されると聞いて、(ネットでの高評価もあり)購入してみました。
…と言うのが2、3ヶ月前でしょうか。
読み終えるのに、ここまで掛かっちゃいましたw。
「面白くない」訳じゃないんですよ。それなら途中で放り出しちゃいます。
一作一作は興味深く、面白く読めるんだけど、一気に読む…って気分にはなりきれない。ちょっと頭の整理をしないと、すぐには次には行けない。
僕にとってはそんな短編集でした。
僕のSF的素養が低すぎるってだけの話かもしれませんがw。


作者は本業をテクニカル・ライターと考えてるらしく、何となく作品もプログラミングなんかとの関連を感じさせる「気配」があります。
「言葉」や「考え方」、あるいは「経験」によって、自分を取り巻く「世界」を定義している「世界観」が揺らぎ、崩壊し、あるいは「書き換えられ」、「現実」の把握の仕方が一変してしまう
…そんな話が多いかな?「あなたの人生の物語」なんかはそんな感じ。
個人的には雑誌記事やドキュメンタリーの体裁をとった作品なんかも皮肉が効いてて良かったです。(「人類科学の進化」「顔の美醜について」)


しかし、これをどう「映像化」すんのかしらん?
そういう意味で映画の方は気になりますねぇ。
監督は「ブレードランナー」の続編の監督でもあるし。
ディックの原作をある種のエンタメ性も込めつつ映画化した「ブレードランナー」。そんな関係性が、この原作と「メッセージ」にもあるとしたら、ブレランの続編への期待も高まります。


…簡単なこっちゃないでしょうけど。