鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「分かった」とは間違っても言えない:読書録「ブロックチェーン革命」

ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現
著者:野口悠紀雄
出版:日本経済新聞出版社


ブロックチェーン」が「ビッドコイン」絡みの技術であることも、マウントゴックスの破綻が「ビットコイン」や「ブロックチェーン」の信頼性とも関係ないことも認識はしてたんですがね。
ただ最近「ブロックチェーン」技術が銀行やら保険業界にも導入されつつ動きを新聞報道やらで見るにつけ、
「それで一体、何が変わるの?」
てことがピンと来なくて、勉強のために「一人者」と言われる作者のこの新作を読んでみた次第。


…結果。
「う〜ん、よう分からん」w。


ブロックチェーン」の特徴として、
<インターネットで経済価値が送れる>
これは分かりやすい。「ビッドコイン」がまさにそれですし。
加えて、
<取引コストが低い>(仲介者をなしにできるため)
<修正不能であることから、信頼性が生まれる>
ここら辺が重要なのも分かりました。
「海外送金」や「公文書」「各種の記録」に役に立つって言うあたりは感覚的にも理解できます。
「IoT」におけるマシン同士の接続からの「自動化」「自律化」
ここら辺もギリ。(「実感」と言う点ではもう一つだけど)
でも「経営者なしの組織(DAO)」あたりになると、サッパリですかねぇ。「予測市場
なんかも、な〜んとなくはわかるような気がするんですが、「実際のとこ、どうよ?」と言われると、「う〜ん」ですな。


と言うか、「実際のとこ」は「まだ」なんですね。
色々考えられていて、可能性は論じられているが、未だそこらへんは「実験段階」か「初期段階」で、実装化されつつあるのは「決済機能」と「記録機能」くらい。(銀行がプライベート・ブロックチェーンでやろうとしてるのもココらへんでしょう)
今のところは、こんな感じじゃないでしょうか。「その感覚がすでに遅れている」ってことなのかもしれませんが…。


ただ、
「そもそもインターネットに期待されていた『フラット』で『分散自律型社会』が、ブロックチェーンによって、ようやく実現化する可能性が出てきた」
って言う指摘は興味深いですね
そうだとしたら、面白い世の中になるかも…w。(大変かもしれませんが)


ブロックチェーンの「オープン」と「プライベート」の話とか、中央銀行による電子マネーの可能性とか、個別に興味深い議論も語られています。
「必読」
と言うには敷居が高いけど(僕だけ?w)、興味がある人にとっては確かに論じられているが幅も広くて、面白いかも。
学者さんの本ですから、エンタメ性はないですけどねw。