鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

もっとエンタメ寄りかと…:読書録「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」

・ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン<上・下>
著者:ピーター・トライアス 訳:中原尚哉
出版:ハヤカワ文庫(Kindle版)


第二次世界大戦がもし枢軸国側の勝利で終わったとしたら…という「if」SF。
フィリップ.K.ディックに献辞があるように、「高い城の男」を念頭に置いた作品のようです。


…が、まあこの表紙を見ますとね。そりゃ「ガンダム」か「パシフィック・リム」でしょうw。
実際、そういう展開もあります。
女性パイロット・久地楽とその「後継者」のノリはワクワク感があって好きですね。
できれば全編そのノリで言って欲しかったんですが…。


やっぱり話はディック風に。
冒頭の何やら陰鬱な展開は、ラストの余韻にしっかりと繋がります。
「虚構」の中で「生きること」を選択させられた男の物語として、十分にエンタメ的な要素もあるんですが、最後はエンタメから一歩踏み出した着地点を見出す。
ディック風に。
(とか言って、僕は「高い城の男」は読んでないんですけどねw)


中盤の嗜虐的展開は好みの分かれるところ。
…というか、僕はダメでしたね。
こういう線からの「攻殻機動隊」ノリは僕には評価できません。
でも全体としては、「期待」を外しながら、なかなかレベルの高い作品になってるんじゃないでしょうか?
文化の日」に一気に読み上げてしまいました。
相応しいかどうかはなんとも言えませんがw。