・火花
著者:又吉直樹
出版:文藝春秋(iBook版)
- 作者: 又吉直樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/03/11
- メディア: 単行本
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言わずと知れた「芥川賞受賞作」。
あまりの評判&売れ行きに、つい買ってしまいました。
「芥川賞受賞作」なんて買うの何年ぶりのことやら!そういう人が多いんでしょうなw。
で、読んだ感想は、
「ええんちゃう?」。
色々言う人がいるし、その批判も分からなくはないんだけど、「おかしい」とまでは思いませんした。
「芥川賞にしちゃあ、面白すぎるかな?」
と読みながら思ったんだけど、「芥川賞作品」だから、「面白くっちゃいけない」ってことはなくてw、むしろここら辺には読む側の「純文学観」みたいなものが反映してるかと。
その点から言うと、むしろ本作は保守的な「純文学観」「私小説主義」みたいなものを色濃く引きずってて、作者の経歴的には「目新しさ」がありますが、作品そのものにはそこまでの「革新性」はないように思いました。
あくまで「個人的には」ですが。
(作品的には少し甘い部分もあって、ある女性の十数年後の姿や終盤のライブなんかは、すこし「物語的過ぎ」な感じがしました。
あとラストの「オチ」は、それまでのキャラクターの言動からすると、「?」でもあるかと。
ただここら辺が作品としての「面白さ」に繋がってる部分もあるので、決して否定すべき部分ではないとも思いますがね)
作中の「神谷」という芸人についてはモデルの話もチラホラ出てますが、僕自身は「松本人志」を強く思い出しました。
モデルの人物や作者自身も含め、今の「お笑い」における観念的な部分っていうのは、相当「松本人志」の影響下にあるんだな、と。
ま、ここら辺は僕が「ダウンタウン世代」だからってのがあるかもしれませんが。
と、ここまで書いて、よく考えたら僕は「ピース」の漫才やコントを一度も見たことがないことに気づき、何本かYouTubeで見てみました(便利な時代やなぁ)。
「面白い」。
でも「革新的とまでは言えない」。
そこら辺が本作とも通底するところ...っていうと、無理やり過ぎる?w
ただ「当たらずとも遠からず」なんじゃないかなぁ。
正直言って、「次作」がどこまでのものになるかは何とも言えません。
でも本作自体は「読んで損はない」ってレベルだと思いますよ。