鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「ニッポン硬貨の謎」

・ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件
著者:北村薫
出版:創元推理文庫

ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件 (創元推理文庫 (Mき3-6))

ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件 (創元推理文庫 (Mき3-6))



「太宰治の辞書」以来の「北村薫」未読本フォロー・シリーズw。
作者が最も敬愛する推理小説作家であるエラリー・クイーンの未発表原稿を翻訳・・・という設定で書かれたパスティーシュ。
元の原稿を書いているのは「リー&ダネイ」(時期的にはダネイだけのはずだけど)ではなくて「エラリー・クイーン」となっていて、注を読んでいると「ダネイ」が書いたという風になっていながら、実際の「事件」(「五十円玉二十枚の謎」)なんかとも絡んでて、ちょっと不思議な気分になります。


とは言え、個人的には「あまり乗れなかった」ってのが正直なところでしょうか?
大前提として、
「僕は『エラリー・クイーン』ファンじゃない」。
「ドルリー・レーン」は好きだったりしますから、作者としてのクイーンは「嫌い」ではないんですけど、探偵としてのクイーンには今一つなじめなかったんですよね。
本書の読みどころの一つは「シャム双子の謎」をめぐる作品論にあると思うんですが(だからこそ、本書は本格ミステリ大賞を「評論・研究部門」で受賞しています)、ここが「ピン」と来ませんでした。
正直言えば、
「どうーでもええやん」
ってな気分にも・・・w。


もう一つは作品のメイン事件の構図について。
これ自体がどうも後期「クイーン作品」を模したものとなってるようなんですが、動機や経過も含め、全く興味をひかれませんでした。
っつうか、
「ありえんだろ、これ」。


(あと、仲間内の盛り上がりにもちょっと・・・。
本格ミステリには少なからずそういうところがあるんですよね)


「エラリー・クイーン」の文体(翻訳だけど)を模しながらも、そこは「北村薫」。
非常に読みやすい文章になっています。
だから「エラリー・クイーン」ファンにはたまらない作品なんでしょうがね、たぶん。