鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「地方消滅」

・地方消滅 東京一極集中が招く人口急減
編著:増田寛也
出版:中公新書

地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)

地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)



少し前にメディアでも報道された「消滅可能性都市」に関するデータをベースに、「少子高齢化」社会の具体的な内容について解説し、その対策の方向性について論じた作品。
報道を読んだときは、
「いやぁ、少子高齢化って大変だなぁ」
と思ったけど、こうやって具体的に突きつけられると、実に刺激的であり、ショッキングです。
この「危機感」を煽るのが本書の最大の目的だと思いますが、それは十二分に果たしてくれると思います。



いわゆる「増田レポート」のポイントは、「人口減」と言われている内容について、「出生率の低下」という「自然増減」だけではなく、地域別の人口移動(流出入)である「社会増減」の視点を組み込むことで、各地域/自治体ごとの「将来絵図」を示したところにあります。
「2040年」の「若年女性人口(20〜39歳)」が「2010年」に比して50%未満となる都市を「消滅可能性都市」と定義している訳ですが、「若年女性人口」を単一の指標としていることや、「社会増減(人口移動)」を現在の延長線で設定しているあたり、
「単純すぎる」
って批判もあろうかとは思いますが、一つの「可能性」として提示し、「危機感」を共有するにはナカナカ考えられてるんじゃないかと思います。実感的にも納得感はありますよ。



僕が今住んでいる地域だと(若年女性人口の減少率)、
金沢:-33.0% 七尾:-59.5% 小松:-36.6% 野々市:-12.4%
金沢のベッドタウンである「野々市」の減少率が大都会並みです。
縁のある場所だと、
松山:-37.2%  今治:-54.9% 大竹(広島):-60.1%
今治・大竹は「そうかもなぁ」。
常々「松山は金沢に似てるところがある」と思ってましたが、減少率でも同様です。



ちなみに大都市は30%〜40%の減少率ですが、周辺地区は10%〜20%って感じです。
「じゃあ大都市圏は大丈夫だね」
ってわけには行かなくて、この大都市圏では「出生率の低下」「高齢化の進展」が急速に進んでおり、この悪環境(人口増加には)な地域に「ブラックホール」のように人口が流入している点が極めて問題であるとの指摘にも重いものがあります。



「じゃあ、どうするのか」



全地域での人口増への転換は困難であることを直視し、各地域ごとの「中核都市」を設定して、そこを地域ごとの人口流出の「ダム」とする。
そのことで「大都市」(特に東京)の「ブラックホール」に歯止めをかけるとともに、「出生率引き上げ」のための社会的/政治的施策を集中的に講じる。



まあ構図としてはこんな感じですが、更に「それをどうやって?」と言うのが問われます。
特に問題は「地方」の方。
「大都市」での出生率引き上げについては(出来るかどうかはともかく)「問題点」「課題」はかなり語られていると思います。
しかし「地方」で「ダム」となる「都市:を如何に構成するかってのは・・・。



やっぱりポイントは「産業」でしょう。
雇用と税収を創出する「産業」をどうやって「地方」に作るのか。
今までの延長線上じゃない、大胆で抜本的な対策が求められます。(普通の「企業誘致」はどこでもやってるでしょう?)
「規制緩和」
「統治体制の変更に依る、地域別税体系の導入」
鍵はここら辺じゃないかと思うんですが、どうでしょうか?



折しも「総選挙」の声が聞こえます。
ここら辺も争点に・・・
って言っても、今からじゃ難しいかぁ。
でもここを「第三の矢」として僕は安倍政権に期待してたんですがね。



さて、どうなりますか。