鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「ヒューマン・コマース」

・角川インターネット講座9 ヒューマン・コマース グローバル化するビジネスと消費者
監修:三木谷浩史
出版:角川学芸出版全集(Kindle版)



「インターネットの基礎」で基本的な背景を学び直して、その「活用」という視点で本作。
正直言って、現状の「eコマース」をそのまま「保険」の持ち込むには限界があると思ってるんですが(ネット保険の現状を見ても)、将来的には十分に可能性があるとも考えています。



<eコマースをはじめとするインタ−ネットのプラットフォームが規制産業に浸透すると、いかに競争が促進されて超過利潤が減少するかを示しているともいえる。>



「保険」に関しては「規制」に「顧客保護」の側面もあり、事実「金融」における「規制」については必ずしも既得権益者の抵抗とは言い切れないと思いますが、大きな構図としてこういうところがあることは十二分に認識し、その「流れ」が突然押し寄せてくる可能性を認識して置く必要があるというのが僕のスタンスです。



本書については三木谷氏(大学の同期ですな。いやはや・・・w)をはじめ「楽天」関係者が多くの文章を寄せています。
そういう意味で楽天の「宣伝」そこまでいかなくても「自己主張」って感じがなきにしもあらずですかね。まあ日本において最も成功している「eコマース」ビジネスを「楽天」が展開してるってのは事実なので、ある意味やむを得ないことではあるんですが。



僕自身は「楽天」の成功というのは多分に「運」にも支えられてた面もあると思っていますが(タイミング等も含め。ただそれを掴むことは簡単なことじゃないってのも事実)、色々な試行錯誤や将来ビジョン、特に「Pinterest」や「Viber」に出資した戦略ビジョンなんかは、「ほう?」と思わせられるところもあって、思ってた以上に興味深く読めました。
ま、それが「成功」に導かれるかどうかは何とも言えませんがね。
今のところ相乗効果はあまりでてないような印象はあります。(方向性には説得力もあるんですけど)



「保険」という視点から見ると、今の「eコマース」の仕組みそのものが受け入れられるには、まだ時間がかかるでしょう。
一難の課題は、消費者との接点。
ここを今は代理店や営業職員が担っている訳ですが、これを凌駕する仕組みを現状は「eコマース」は構築しきれていないと思います。(正確に言えば技術的には可能。ただそれを使う側に、それを使うコスト(時間/手間を含めた)を超えるメリットが見出せないと言うのが現状でしょう)



ここら辺は「商品」サイドの改革なども含め、前進してくるとは思いますが、その前に「営業」改革がなされるんじゃないかと僕は予想しています。
現時点でも代理店/営業職員がPC/タブレット/スマホを活用する土壌は揃っています。
ここに「アルゴリズム」を活用した効率的営業手法や、各種の営業ツールの効果的/効率的投入がされることで、顧客と営業現場の接点に置ける情報の充実化/スマート化と営業現場の「生産性向上」が現実化するのではないか、と。



そういう観点から言うと、「楽天」がベースに置いている「人気(ひとけ)のある商売」って考え方には考えさせられるところもありましたよ。
「楽天」はネット市場のあり方として「人」と「人」の関わりが輻輳化することから生じる「人気(ひとけ)」を重視した訳ですが(正直「そうかなー」とも思うけどw)、それが「成功」の一つの要因と考えた時、「保険」の営業現場のあり方を考える切り口にもなりうるし、そこから今後の「あり方」を構築する参考にもなりうるんじゃないでしょうか。
(こういう考え方そのものが「既得権益」を少しでも確保しようとする無意識の思考パターンの可能性もなきにしも・・・)



「楽天」から離れて「eコマース」全般について語っているパートもあって、これはこれで大きな構図や流れを確認する上で参考になります。「EC(電子商取引)」の重要性とか、たんなるポイントによる「人寄せ」ではない戦略性とか、ね。
「2,000円」の価値があるかどうかは分かりませんが(しつこいw)、読んだなりの得るものはある本だと思います。