・LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲
著者:シェリル・サンドバーグ
出版:日本経済新聞出版社(Kindle版)
LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲
- 作者: シェリル・サンドバーグ,川本裕子,村井章子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2013/06/26
- メディア: ハードカバー
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事務所にいる女性管理職が後輩である女性社員向けに開いた講演会にオブザーブした際、彼女が社員達に奨めていた作品。
「オブザーブしている男性社員にも是非読んでいただきたい」
・・・ということで、読んでみました。
コレをすすめられるってのは、それはそれで強いメッセージでもあるなぁ・・・と思いましたがね、読後。しかしそうされるのも仕方がない状況が、まだ私が勤めている会社にはあるというのも事実だと思います。
そのことに気付き、何とかしようとしているのも確かですが。
内容は以前TEDで観たものと重なります。
ま、あれを契機に、それをもっと深めたのが本作ということでしょう。
「伝記みたいなもんかなぁ」
と思ってたんですが(そして往々にしてこういうのは「自慢話」になりがち)、もちろん自身の経歴や経験を披露しているんですが、作品としては「女性の地位向上」に関する論述書って感じです。それは脚注の多さにも顕われてて、1/3くらいは当てられてるんじゃないですかね。
「単なる経験論、感覚論じゃない。これにはしっかりとした根拠があるんだ」
そう主張しているようです。
(本作には日本における「女性」を巡る色々な統計も紹介されています。これは「日本版」用の追加なんでしょうね)
社会に置ける女性への低い評価
男性から女性への差別/決めつけ
ここら辺は「フェミニズム」の「いつもの話」。(こういう「決めつけ」がいけないんですが)
女性自身の「ステレオタイプ」からの影響
女性間の足の引っ張り合い
男性も自由になるための考え方の変革の必要性
こういう点にも踏み込んでいるところが「今風」ですかね。
先日、エマ・ワトソン(ハーマイオニー!)が国連で演説した内容がネットで評判になっていますが、そこにも繋がる話です。シェリル・サンドバーグのTEDの演説と併せてみると彼女達の主張の力強さが分かりますし、その「真っ当さ」も理解できます。
あ、小室淑恵氏のTEDなんかは「日本の事情」を踏まえた同じ路線の演説と言えるでしょう。
まあ、色々な声はありますよ。
「実力で評価されるべきであり、『女性』という評価ファクターを入れるのはおかしい」
「『子育て』を考えると、女性は『家庭』にいるべき」
「『性別』は差別ではなく『区別』」
etc,etc
でも、
「人間としての可能性が少しでも開かれる社会、選択の自由が認められ、尊重される社会でこそ、人間はより幸せになれる」
僕自身はそう考えていますし、そうであって欲しいと思います。
その観点から考えれば、やはり今の「女性」がリーダーに占める割合の低さは不自然じゃないですかね。そこには何らかの手だてが講じられるべきだと思いますし、それは「男性」の幸福感/自由の向上にも繋がるんじゃないか、と。
そういう意味で、「男性も読むべき一冊」なんじゃないかと思います。
「女性の活躍」というよりは、「男性にとっての自由」という観点からも。
色々考えさせられましたよ。