・ネットのバカ
著者:中川淳一郎
出版:新潮新書(Kindle版)
「ウェブはバカと暇人のもの」の作者によるネットの現状報告。
何となく印象ではこの手の「ネット批判」ばっかり書いてるような気がしてたんですが、その類いの作品しては「ウェブはバカの〜」以来とか。それだけあの作品がインパクとあった、ってことでしょうね。
「ネットに良いところは沢山ある。
でも所詮はツール。
ネットを使ったからと言って、使う人のレベルが上がる訳じゃない」
ってのが一貫したスタンス。
だからこそネットを「駆使」しながらも愚かしい人々の姿が、前書でも本書でも(嫌になるくらい)描かれている訳です。
<まずは自分の能力を磨き、本当に信頼できる知り合いをたくさんつくれ。
話はそれからだ。>
おっしゃる通り。
<「ウェブはバカと暇人のもの」以降のこの4年間のネットの風景を淡々と描いてきた。>
「その風景がこれかぁ」って暗澹たる気分にもなるけど、「まあそうだよな」とも思うw。
「ネットが当たり前」になったことがツールとしてのネットの優位性の幻想ははがれてきてる、ってのが今の段階なんでしょうね。
本書の「風景」では、「愛国」を巡る状況や、個人への過剰な攻撃性(「ネットスクラム」とでも言いましょうか)なんかには懸念を強く感じています。
そうした「今」の風景を知る上では、すごく参考になる作品なんじゃないか、と。