鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「ポエムに万歳!」

・ポエムに万歳!
著者:小田嶋隆
出版:新潮社



「たまむすび」でレギュラー出演している「週刊日本の空気」で作者自身が紹介してるのを聴いて、
「面白そうだな」
と購入。
確かに面白かったんだけど、期待してたのとはチョット違ったかなぁ。
もっと全編「ポエム」を追求してる作品かと思ってたんだけどね。
複数の媒体に発表されたのをまとめたものなんで、今ひとつ統一感にはかけるかと。
…ここら辺は作者自身が「まえがき」で予防線を張ってますw。<ポエムは、書き手が、詩であれ、日記であれ、手紙であれ、とにかく何かを書こうとして、あおの「何か」になりきれなかったところのものだ。その、志半ばにして、道を踏み外してし脱線してしまった文章の断片が、用紙の上に(あるいは液晶画面の上に)定着すると「ポエム」になる >



ただ作者としてもハッキリと定義し切れてるとは言い切れないようだ。
だから「水着グラビア」から「政府広報」までエラくスパンの広い話になっている。
ただその得体の知れないものが、テレビのニュースから、官僚の文章、政府広報などなどにまで広がっている居心地の悪さ…みたいなところが「ポエム」論なんだけどね。(そこまで来ると、「隠蔽」って要素も入ってくる)
そのキッカケが中田英寿の引退コメント…ってのは一ファンとしては抗議したいところなんだけど、納得感はあるなぁw。
「旅人」はねぇ。



本書の中にはデモの話やら、体罰問題、ネット選挙やら偽装やら、あれやこれやの事実ネタも論じられている。
同時代性において、それらも「ポエム」問題に通じるところが
…「ある」とも言えるだろうけど、正直、「まとめてみました」って感じかなw。
それぞれ考えさせられるし、読み応えもあるから良いんだけどね。
僕は作者の意見は時に過激になりながら)絶妙なバランス感覚もあって、結構参考にしてます。
ここら辺の感覚はラジオの方が良く出てるとも言えるけど。



…と言う訳で、「ポエム」論を期待してると、ちょっと物足りないかも。
ショッキングピンクの表紙も煽ってるんだけどねぇ。
でも「小田嶋」節を楽しもうってのなら、十分満足できる一冊かと思いますよ。
そういう需要がどれだけあるかは知らんけどw。