鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

事実は「映画」より奇なり。:映画評「シュガーマン 奇跡に愛された男」

これも東京出張の時に観た映画。
ドキュメンタリー映画の場合、大抵は一時間半くらいだし、論理的な構成になってるのが多いから、細切れに観ても理解しやすいんですよね。
で、会社から羽田までの電車、羽田空港での時間待ち、小松空港から金沢駅へのバス等々の隙間時間で観ました。



しかしこれはかなりの作品です!
「G.I.ジョー2」とは雲泥の・・・。




「シュガーマン 奇跡に愛された男」



60年代から70年代、デトロイトのスペイン系シンガーが2枚のアルバムを作成します。
一部からは高い評価を受けながら、ビジネスとしては成功せず、シンガーは表舞台から消え、市井の人に・・・。
ところがそのアルバムがアパルトヘイト下の南アフリカで紹介され、反政府運動と結びつきながら爆発的大ヒット。
本国アメリカでは無名のシンガーが、南アフリカではビートルズに並ぶ大スターとして時代に刻印されることとなる・・・



まずはこのギャップにビックリ。
でも本論はここからです。



90年代に入り、南アフリカのある人物たちがこのシンガー(ロドリゲス)の消息を追いかけ始め(南アフリカでは「舞台で自殺した」と噂されていた)、紆余曲折の末、デトロイトで健在なのを発見。
そこから南アフリカでライブを開く経緯が描かれています。



「発見された」ロドリゲスの人間性
復活ライブの盛り上がりと、時を経ても変わらぬ「音楽」
一連の騒動を経て、それでも変わらないロドリゲスの「孤高」



実に不思議で、あり得ない、それでいて感動的な「事実」を本作は提示しています。



ロドリゲスの「音楽」が果たしてどれほどのものなのか?



アメリカでは全く売れず、南アフリカでは空前の大ヒットをしたという「事実」は、何だか「ヒットするってのはどういうことなんだろう」と考えさせられます。
僕自身は「なかなかイイんじゃないかなぁ」と思いましたが、歌詞に重きを置いた音楽ですから、その神髄は理解しきれないかもとも感じます。
結局、「運」という要素は小さくないってことなのかも。
そこには「時代」という要素もあります。



相前後して「ルー・リード」逝去の報。
ちょっと感慨深いものがありました