鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「インターネットを探して」

・インターネットを探して
著者:アンドリュー・ブルーム 訳:金子浩
出版:早川書房



とにかくインターネットとは縁が切れない生活になっている。
最初は「思うところあって」だったし、根が面倒臭がりなんで、あんまり新しいことを覚えたくないんだけど、「あえて」踏み込んでみて、結構今はドップリかな。
基礎知識が足りないから、深いトコには踏み入れられないんだけどねw。



インターネットについて語られるのは、どちらかというと「機能」や「可能性」「将来性」が主。
特に「クラウド」がメインになって、その傾向は強くなっている。
そのこと自体は正しいと思うし、クラウドが社会に与える影響は結構大きいとも思う。
ただその一方で、あまりにも広範囲でアクセスができるようになって、逆にインフラとしてのインターネットは日常では意識されない存在となりつつある。(「ユビキタス」が現実化しつつある速度は恐るべきものだ)
ハッカー被害やアクセス障害なんかがあると、ネット社会のリスクが気になったりもするけど、物理的なネットワークの存在への意識は希薄だ。



本書はインターネットの物理的なネットワークに視点を合わせて、実際に現場を訪問しつつ、インターネットについて物理的な側面から考察した作品。
なかなか珍しい視点だし、一度読むと脳裏から離れない印象を得ることができる。
正直、僕のネットに関する知識は表層的なのでw、本書で紹介される施設が具体的にどのように機能するかについては「?」なトコも少なくなかったけど、読み終えると何と無くインターネットの物理的なネットワークがイメージ出来るようになった。
その施設も、それを管理する人々も、一般の施設の運営管理者と極端の異なるわけではないが、どこかネット文化的な振る舞いを身につけている。
ここら辺の塩梅が面白いんだよね。
(だからこそ、そこから逸脱したGoogleのデータセンターに対しては厳しい視線が投げかけられている。
ここはプライバシー保護や安全保障の観点からは簡単に割り切れないことでもあるけどねぇ)



個人的にはもう一つ、無線LANの施設展開なんかにも言及してくれると面白かったかな。
今のデバイスはWi-FiやBluetoothと切り離せないもんね。
ここら辺、インターネットの本質とはズレる話かもしれんけど、利用する側にとっては無視できない要素じゃないかと思うんだけど、いかがでしょう?



まあ何であれ、今やインターネットが欠くべからざる社会インフラになったのは間違いないところ。
その具体的な姿を考えさせてくれる良書ではあるでしょう。
もっとも重要な社会インフラの物理的存在と重要性を露わにするだけに、例えばテロの危険性なんかが頭を過ったりする。
ま、ソレを踏まえた上で対策すべき・・・ってのが本論だろうがね。