鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「トライブ」

・トライブ 新しい"組織"の未来形
著者:セス・ゴーディン 訳:勝間和代
出版:講談社



昨年、前作の「『新しい働き方』ができる人の時代」を読んだとき、本作に関する言及があって、訳されるのを楽しみにしてたんだけど、結構かかったね。
原書の出版は08年。
翻訳を勝間和代氏がしたことで、批判を受けやすいポジションの出版になっちゃったかなぁ。
割といい本だと思うんだけどな。



主張の骨子は割とシンプル。(まあ作品自体、小冊子に毛が生えた程度の分量だけど)

「ネット等のコミュニケーションツールの発達で、地縁や血縁、組織(会社等)といった枠組みに縛られない人間関係の構築が出来るようになった」

「目標や趣味、興味等によって結ばれる人間関係(トライブ=部族)が登場している」

「現代社会においては『工場』的な組織、アプローチでは社会の変化に対応できない。『トライブ』による柔軟で迅速な変化の追求が、現代社会においては重要になっている」

「『トライブ』を動かすのは『マネージメント』ではなく、『リーダーシップ』だ。そういったリーダーが求められているし、誰もがそういったリーダーになれる時代となっている」



<さあ、前に進もう!>(P.190)



まあ、論を講じているというよりは、「アジテーション」に近い作品かなw。
でもナカナカ熱が入っていて、啓発されるところも少なくなかったよ。
まだまだ「工場」的なところが多い業種につとめてるけど、それでも局面、局面では本書の指摘のような動きを感じるところもある。
過渡期ではあるけど、そういう流れを呼び込みたいって考えもあるのかもしれないな。
(業種の難しさもあるけど)



むしろ本書の問題点は「訳されたのが遅い」ってことだろう。
確かに発表された2年前ならこういうアジテーションで良かったかもしれない。
しかし数年経って、ネットを中心としたコミュニケーションツールの深化は広範になり、それだけに色々な「事件」が発生している。

「トライブ」の中にはネガティブなものもあり得る。
トライ&エラーの「エラー」の影響の大きさも懸念される局面もある。

今となっては単なる「アジテーション」だけではなく、こうした点にも目配りした「論」を読みたかった、って言うのが僕の感想。
勿論、日本の状況はアメリカには大分遅れてるところがあるし、日本独自の問題もある。
「まだまだ過渡期」
ってのも確かだろう。
でもこうした考え方が魅力的なのも確かだ。
だからこそ・・・ね。



「自分自身が、そういうトライブを引き出すべきでは」



・・・おっと、そういう考えもありえるか?w
うーん、それはナカナカ。
って言ってるウチはまだまだってことかな?