帯に「CIA」や「フリーメーソン」の名前が出てるので、「陰謀史観」に関する広範な紹介書かと思ってたんだけど、コレは誤解(帯のミスリード?w)。
第二次大戦を中心とした日本の近現代史における「陰謀史観」を解説した作品…と言うのが正しいね。
まあ「陰謀史観」全般については海野弘の「陰謀の世界史」があるから。
思い違いがあったんで、最初はちょっと戸惑ったんだけど、思い直して読んでみれば、ナカナカ読み応えのある内容だった。
勿論、ここら辺のことってのは色々な立場から主張が飛び交う分野だけに異論噴出ではあるだろうけど(そこを逆撫でするような物言いも本書にはあるw)、僕自身は比較的バランスの取れた内容なんじゃないか、と感じたけどね。
南京大虐殺には批判的
従軍慰安婦の強制連行は否定
って作者のポジションは「保守寄り」だと思うけど、完全否定まではしない(学者の立場としては当然だと思うが)あたりが、保守陣営には受けないんだろうか。
本書の批判の矢は、田母神氏や藤原氏らの保守論者に向けられてるけど、このスタンスは、
「ここまで言ったら『トンデモ』に近いだろう」
って苦々しい思いにあるんじゃないか、と。(だからこその「陰謀史観」)
まあ彼等の言動ってのは学術的なもんじゃなくて、多分に政治的思惑によるものだろうから、ココが擦り合わないのは当然ではあるんだろうけどね。
ただ保守論者の側も、極端な主張は「陰謀史観」認定されちゃうリスクが高いってことは認識しておいた方がいいか、と。
どうも保守論者の主張ってのは、閉ざされたサークルでの論理に終始しがちなんじゃないか、って印象は確かにあるんだよなぁ。(「外国で主張してみろ」と作者は当てつけているw)
異論がイロイロあるのは確かだし、そこを逆撫でする記述が散見されるのも気になるところ。
だけど、近現代史から現在の歴史認識を巡る主張に、一つの視点を与えてくれる作品であることは確かだと思う。
そういう意味ではオススメ。
「それにしても日本の教育では、近現代史を教えなさすぎ」
と改めて思いましたよw。