鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「夏天の虹」

・夏天の虹 みをつくし料理帖
著者:高田郁
出版:ハルキ文庫



シリーズ第7弾。
前作で「料理人」としての人生を歩むことを決意し、想い人との別れを決めたヒロインのその後が描かれている。



「その道を選ぶのだな」
「ならば、その道を行くのだ。あとのことは何も案ずるな」
「お前は誰にも何も言わずとも良い。すべて俺に任せておけ」
「良いか、澪。その道を行くと決めた以上、もはや迷うな」



すべてを自ら背負う覚悟をした「想い人」のセリフは潔い。(第一話)



・・・んだけど、ヒロインは迷っちゃうんだよねぇw。
「料理人」として生きることは覚悟しながらも、「もしかしたら」と一縷の望みを持ったり(第二話)、その望みが断たれた心労から嗅覚と味覚を失ったり(第三話)・・・。
いや、まあ分からなくはないんだけど、あんまり色恋沙汰に興味がなくなって来ている僕にとっては、なーんかもどかしいと言うか、カッタルイと言うか・・・。



と気分が乗らないまま読み進めると(面白くはあるんだけどね)、第四話で新たな「別れ」が。



いやぁ、これにはやられました。
こういう風に持ってくるとは。
ラストの展開には、グッと心を掴まれてしまった。



まあね。
上手いですよ、この作者。
分かってたけど、改めて再確認。



と言うわけで次作が楽しみです。
しっかりヒロインが背負ったものは、ヒロインが歩むと決めた途の向こうにあるはずだからね。
その歩みを見て行きたいと思う。



とは言え、そろそろ料理対決も見て見たいとは思うんだけど、こっちはどーなのかなー。