・ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない
著者:漆原直行
出版:マイナビ新書
「・・・と言う『ビジネス書』」ってなオチがあったら完璧だったんだけどねw。
まあそこまで斜に構えてはいないようです。
作者が疑念を呈している「ビジネス書」のメインは「自己啓発本」や自己啓発絡みの「仕事術」あたり。
まあ実用書や経済書、経済分析書なんかの類でも作者の視点からは「?」ってのはあるだろうけど(新書の類の中とか)、ターゲットは「自己啓発本」中心と思ってイイだろう。
そしてその指摘には「一理ある」。
本書では「出版社」「作者」「読者」という切り口から「ビジネス書」ブームの問題を論じているんだけど、これは結構的を射ている。
「ビジネスモデル」としての「ビジネス書」の問題点、そこを足がかりとしてパーソナルブランディングを目論む作者、そして出版社と作者に危機感を煽られて「依存」してしまう「読者」。
語り口に斜に構えたところがあって、ところどころ引っかかるけどw、「あるよなぁ、こう言うところ」って僕も思うよ。
何か香ばしい出版社や作者ってのは確かにあるし、ネット(TwitterやFacebook、ブログ等)なんかじゃ「?」って読者も散見される。
こういう構図がある部分で存在するのは間違いないんじゃないかねぇ。
個人的には「自己啓発本」のベースに新興宗教的なキリスト教の影響があるって指摘には「ほう?」って感じだった。
プロテスタント的なところがあるのは認識してたけど、ここまではっきりと指摘しているのを読んだのは初めてだったなぁ。(単なる勉強不足かもしんないけどw)
僕が「ビジネス書」を読むようになったのは2005年位から。
だから本書でピックアップしているゼロ年代の「ビジネス書」もその前のは(ベストセラー本以外は)あまり読んでない。
05年以降のものも意外に読んでないなぁって感想だな。
それだけワンサカ作品が出版されてるってことかなw。
作者の基本的な主張には頷けるものがあるし、最後のアドバイスも「確かにね」ってt頃がある。
なんにせよ、依存してしまって思考停止に陥ったらアウトだろう。(そもそも自己啓発本の多くも、「思考停止」は戒めてるんだけどね)
その一方で、ある時期に読む自己啓発本や仕事術の本が「役に立つ」ってのも事実。
社会環境やIT技術が急速に変化・進展する中で、OJTにはどうしても限界があるんだよね。(そもそも僕が「ビジネス書」を読み始めた契機もそこらへんにある)
そう言ったことを考え合わせると、「ビジネス書」に対するネガティブなスタンスをとった本書を読むタイミングってのは、結構難しいかもしれない。
・・・と言うわけで、「ビジネス書を読み過ぎたな・・・と思った時に読むビジネス書」ってのが僕の評価です。
「読み物」としても楽しめるしねw。