鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「経営戦略の教科書」

・経営戦略の教科書
著者:遠藤功
出版:光文社新書(電子書籍)



「現場力」の著作がある作者による「経営戦略」の概論。
大学院の講座を書籍化したものらしく、整理されていて、語り口も分かりやすい。
まあ「初心者向け」なのは確かだと思うけどw、実例も豊富に盛り込み、講義の中でも頻繁に言及することで、「教科書」にリアル感をもたらせている。
ま、ホントはリアルから論理を導きだしてるはずなんだけどねw。
(ま、それだけに今のタイミングで読むと、「ん?」って思う実例もあるにはある(「パナソニック」とか)。
でも「成功したか否か」がポイントじゃなくて、「どういう考えからポジショニングしたか」が問われるんだから、それはそれでいいんだけどさ)



「アドバンテージ・マトリクス」については「ふーん」だったけど、基本的に本書で述べられていることは「経営戦略」論においては広く言及されていること。
だからこそ「教科書」なんだけど、理論と実践は別の話。
本書の根本には「実践」が常に想定されていて、それが「読ませる」んだよねぇ。
ここら辺は「現場力」にも通底するところがあるんじゃないか、と。



「実践」ということで思い出したのは、以前読んだ酒井穣氏の「新しい戦略の教科書」と、直前に読んだ「人を助けるすんごい仕組み」。
どちらも「戦略」を進める上において、「状況の変化」と「目的」との関係から、戦略(あるいは戦術)を柔軟に見直すことの重要性を指摘している。
その比重はそれぞれだと思うけど(「すんごい仕組み」が一番柔軟かな)、「実践」においてはここが最も重要だろう。
換言すれば「経営戦略」において最も重要なのは、「戦略」を策定するまでの状況分析と目指すべき「ポジション」の策定であり、そこから導きだされる戦略・戦術には柔軟性を持たせ、官僚化による硬直性をもっとも避けるべき・・・って言うと、自分に引き寄せて読み込み過ぎかな?w
(ま、「ポジション」そのものの見直しも忘れちゃいけないんだろうけどね)



「これって個人にあてはめると、GTDになるような・・・?」



目的に向かって動くって言うのは、個人であれ、組織であれ、実は共通な部分がるのかも・・・ってのが今の感想です。



一読には値する本だと思いますよ。