鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「バット・ビューティフル」

・バット・ビューティフル
著者:ジェフ・ダイヤー 訳:村上春樹
出版:新潮社



「サマセット・モーム賞受賞作」。
・・・ってのが売りじゃなくて、「村上春樹訳」ってのがセールスポイントの作品。
僕もまあ、そうじゃなきゃ買わなかったと思うよ。
そう言う意味じゃ、出版社の思惑通りw。
もっとも「JAZZ」に関する村上春樹の作品(ポートレイト・イン・ジャズ 等)や翻訳作品(ビル・クロウの作品等)は結構好きなので、「期待感」はあったけどねw。


ただ正直、そういう先行作に比べると、本書は読みづらかった。
購入したのは昨年の10月位だったけど、途中でシンドくなって放置。
先週末になって、ふと思い出して、ようやく読了することができた。
読み終えてみると、それなりに「いいなぁ」って感じもあるんだけど、客観的に言えば万人受けする作品じゃないな、これは。
「村上春樹ファン」だけじゃ読むのは辛いと思うよ。


要は「JAZZ」に関する物語。
ジャズミュージシャンを通じて、JAZZが持っている「何か」を描いた作品である。


<ジャズに興味を持つようになった人は誰しも、その音楽を実践した人々の「損傷率」がきわめて高いことに、早い段階でショックを受ける。>(P.241」


あとがきのこの作者のコメントにうなづける人だけが本書の入口に立つことができる。
ここはまあ、僕も共通認識として持ってるんだけどね。
でもそれだけじゃ足りない。
加えてそれぞれのミュージシャンのプレイと、人生に一定程度の知識がないと、全く作品世界に入れない可能性があるんだよなぁ。
僕は「ギリ」だったね。正直w。


と言うわけで、JAZZが好きで、一定程度の以上の知識がある人にとっては、興味深い作品かと。
僕レベルだとボーダライン・・・ですな。
(でもチェット・ベイカーと、アート・ペパーのは短編は好きだな。
特に題名とつながるペパーのは美しいと思うよ)