・米国製エリートは本当にすごいのか?
著者:佐々木紀彦
出版:東洋経済新報社(電子書籍)
スタンフォード大学の制服(?)の後ろ姿の、ちょっと目立つ表紙で、少し前から気になってはいた作品。
とは言え、読む気はあんまりなかったんだけど、電子書籍の期間限定セールで「500円」になってたんで、つい・・・w。
少し前に発売された単行本がこんな価格帯で発売されるようになったら、電子書籍の流通の後押しになるような気はするね。
本書に関して言えば、もっと「米国の大学生の実態」「日本の大学とのギャップ」みたいなところが強調されてるのかと思ったけど(題名はそういう煽りになってるよね)、勿論そういうところはあるんだけど、「米国エリートに見るリーダーの資質」といった視点の話の方が記憶に残ったかな?
そのためには何を学ぶべきか?
「経済」
「歴史」
「国際政治・インテリジェンス」
個人的には特に「歴史」に関する論述が興味深かった。
「従軍慰安婦問題」や「原爆」について作者が米国で経験し、感じたことは、グローバリズムにおける「歴史」、さらには「愛国心」について考えるいい題材になっている。
国内だけなら偏狭なナショナリズムに振れても、自虐史観にとらわれてもいいのかもしれないが(それなりの受け皿はあるし)、グローバルな世界でそれをどう表現して行くのかを考えると、甚だ心もとないわな。
<タブーなく、感情的にならず、信頼性の高いファクトを積み上げて、歴史を議論して行く。>
確かにそういう姿勢が必要だと思うんだよね。
作者は勿論「海外留学」を薦めてるんだけど、決して『アメリカ万歳」というスタンスだからじゃない。
作者の米国に対する視線には、かなりクールなところがある。
それはあるいは「世代」のせいかもしれないが(作者は僕より一回り下の世代)、だからこそ「留学」の成果を着実に身につけれるってのがあるのかもね。
<私にとってのスタンフォードは、勉強するには最高の環境ですが、二年以上住むと発狂しそうなくらい退屈な場所です。>
なんて言うくらいだからさw。
来るべき世代に「日本オリジナルエリート」が生まれてくるのか?
それは何とも言えないけど、期待はしたい。
ある種の「閉塞感」を共有してるからこそ、その可能性は高まるようにも思うんだけど、どうだろう?
僕らの世代に求められるのは、ここから妙な自暴自棄に舵を切らないようにすること・・・そんな風にも考えている。
いや、別に自分たちの世代を諦めた訳じゃないけどねw。