鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「火と戯れる女 ミレニアム2」

・ミレニアム2<上・下> 火と戯れる女
著者:スティーグ・ラーソン 訳:ヘレンハルメ美穂、山田美明
出版:ハヤカワ文庫



考えてみたら「1」は変な話だった。
孤島を舞台にした過去の事件の顛末が明かされる…という、なにやら横溝正史っぽいストーリーに、異常変質者やらハッカーやらマフィアやらの現代的道具立てをミックス。
ついでに性に対して寛容な国スウェーデンの小説らしい、混乱した恋愛・性愛模様も加味されて、全体の印象としては「ごった煮」って感じだった。



その中で際立っていたのが「リスベット・ サランデル」と言うキャラクター。
正直言えば、このキャラクターがあればこその「ミレニアム」だったと思うね。
「ごった煮」ストーリーも面白いっちゃあ面白いんだけど、このハードボイルドで切ない小娘が登場しなけりゃ、あれほど心惹かれる作品にはならなかったろう。
実際、前半のもっさり展開が、彼女がストーリーの中心に絡むことでドライブし始め、一気にラスト…って感じだったもん。



で、第二作。
物語はリスベットの過去に絡んで進展する。
前作同様、人身売買・幼女買春に関わる幹となるストーリーがあるんだけど、本作ではそれ自体がリスベットの過去と密接に絡んでおり、その分、序盤からストーリーにはドライブがかかっている。
いや、ホント、隙間時間も総動員して、一気に読み上げちゃったw。



まあそれにしても相変わらずリスベットの格好いいこと!
ラスト、過去に独りで決着をつけに行く際、ミカエルに一言残すシーンなんか、ほんとグッと来たね。
下手をすると安手の西部劇みたいになっちゃうところを、実にクールに処理して、その後に壮絶な対決シーンを持ってくる。
いやはや、読まされました。
(ラストシーンまで主人公二人は顔を合わせない。
にもかかわらず、そこには切実な繋がりが感じられる。
これがこのシリーズの魅力の一つでもあるだろう)


第三作はこの第二作を直接受けての展開になるとのこと。
文庫は来月発売。
実に楽しみです。