・ビジネスマンのための「行動観察」入門
著者:松波晴人
出版:講談社現代新書
「行動観察」とは何か?
まあ、「人の行動やおかれた環境を観察することで潜在ニーズを明らかにし、課題解決やノウハウ共有に活かす手法」って感じかな?
「観察から解決法を見出す」と 言ってもいい。
観察する母数が少ないからどこまで「科学的」と言えるのか分からないけど、具体的なソリューションをもたらしてくれる意味で、実にビジネスには有効だと思う。
…と言うか、ビジネスのある種の一面を体系化したとも言えるんじゃないかな?
<結果を見た最初の印象は、当たり前すぎる、ということでした。でも、当たり前のことにこれだけ気付けてないんだな、とも思いました。>(p.110)
あるクライアントの言葉は、そういう面を指しているのかもしれない。
もっとも本書の面白さはそう言う理論面にあるんじゃない。
丁寧に紹介されている行動観察の実例。
これが実に面白い。
そしてそれらを読むうちに、読者は「行動観察」の有効性を実感することになる。
いや、ナカナカ考えられた作品です。(この作品自体が「行動観察」に支えられてるのかもw)
紹介されている行動観察の実例はこんな感じ。
・ワーキングマザー
・イベント
・スーパー銭湯
・営業マン
・残業職場
・飲食店
・ホテルマン
・製造工場
・書店
どれも面白く読めたよ。
そこで提示されるソリューションは、「当たり前」だけど「できてないこと」。
例えば優秀な営業マンの条件は以下。(p.132-133)
①優秀な営業マンは、お客さんとのファーストコンタクトを非常に大切にしている。
②優秀な営業マンは、自分よりお客さんのほうが話す時間が長い
③優秀な営業マンは、お客さんをよく観察して、個別のお客さんのニーズに合う提案をする
④優秀な営業マンは、お客さんに何か必ず 親切なことをする
何故か?
その理由は推測がつくものばかり(「当たり前)。
でもできてないし、それを言語化して提示したことに意味がある。
(ま、「見える化」ですね)
学究としてはどうなのかは分からないけど、実業には役に立つのは間違いないんじゃないかなぁ。
読み物としても面白いし、オススメできる一冊です。