鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「転迷」

・転迷  隠蔽捜査4
著者:今野敏
出版:新潮社



待望の「隠蔽捜査」シリーズの長編第4作。
「ミレニアム」を読んだばかりで、いつもならミステリーは避けるんだけど、店頭で見掛けてすぐ購入。
台風の電車待ちと、朝の通勤中に一気に読み終えてしまいました。
好きなんですよねー、このシリーズ。



主人公は相変わらず原理原則に忠実な警察官ぶりを発揮し、その合理性で周りを振り回しつつ(主人公にしてみれば、何で振り回されるのか理解出来ないんだが)、複雑に絡まった事件を解決する。
この周りの周章狼狽ぶりと、
<「国家公務員は、国のために働いている。」>(p.335)
と真剣に言える原理主義者ぶりがこのシリーズの読みどころ。
それは今回も十分に堪能出来 ます。


本庁だけじゃなくて、外務省・厚労省まで巻き込むバタバタぶりが本作の特徴だろうし、面白いのも間違いないんだけど、一方で何かパターン化して来たかなって印象もあるかな?
その最大の原因は、主人公の役職が「大森署長」に固定さててるトコにある。
このまま大いなるマンネリ路線を行くのか、新しい舞台を用意して、新たな「波紋」を生み出すのか?
ラストを読むと、どちらとも言えないし、どちらであっても面白くはあるだろうと思う。


でも個人的にはマンネリ路線は「安積」班に任せて、竜崎には新天地で活躍して欲しいんだよねぇ。
だから本作ラストのヒキは、ちょっと期待するところがある。
いや、署長で現場から上をつきあげてもらうのも悪くないんだけどね。