鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「心星ひとつ」

・心星ひとつ みをつくし料理帖
著者:高田郁
出版:ハルキ文庫



シリーズ6作目にして、ヒロインは決定的な決断をする。
その「選択」のために彼女は大切なモノを手放すことになるのだが…。



自らの途を、自らの力で歩んで行く。



彼女の選択は、要はそう言うこと。
これは本シリーズの根幹ともなるテーマであり、従って彼女の決断は当然のコトでもある。
しかし選べば実現する「恋」を、自分の決断で切り捨てるって言うのは、少女小説的な要素もある本シリーズにとっては大きいことなんだろうねぇ。
僕は読んでてこっ恥ずかしかったけどw。



まあヒロインの方は良いとして、僕が引っかかったのは、ヒロインの「想い人」のほう。
ヒロインの料理人への想いを知り、共有出来る彼なのだから、最後のヒロインの「決断」を予想するコトも出来たはず。
だったらもう少し手助けになるように動いても良かったんじゃない?
彼の行動はヒロインの悩みを深めただけじゃん。
…って、それも含めて「自らの決断」、か。



〈どないに辛いことがあったかて、生きて生きて、生き抜くと、決めた。亡うなった家族のためにも、自分の人生を諦めへんと決めたんや。そういう生き方を貫いたなら、きっと厚い雲も突き抜けられるやろ。私はそう信じている。いつの日かまた、あの橋の真ん中にふたり並んで、真っ青な天を仰ぐ日が来る。〉(p.141-142)



震災のずっと前にスタートしたシリーズだが、震災は作者に改めてシリーズの意義を考えさせたのだろう。
そのために、本作は「決断」と「選択」の一作になったんだと思う。



実に読み応えがありました。