作者のデビュー作「邪馬台国はどこですか?」、続編「新・世界の七不思議」に続く第三弾。
バーでの論争の中から歴史上の「謎」が解き明かされるユーモア・ミステリー「邪馬台国はどこですか?」は結構好きな作品だったんだけど・・・
三作目にもなると、ちょっと辛いかなぁ。
一番の問題は、主人公たちの関係性。
このシリーズは美人の歴史学者・早乙女静香嬢とフリーライター・宮川のケンカ混じりの掛け合いが面白かったんだけど、前作ラストでこの二人、恋愛関係になちゃってるんだよね。
しかもどちらかと言うと静香の方が惚れ込んでる感じの、ベタベタな状態。
こうなると「掛け合い」も影を潜め、何だか宮川の推理を延々と聞かされてるだけのような・・・。
笠井潔氏が喝破した通り、デビュー作では披露される「推理の内容」なんか、どーでもよかったんだよねw。
そこに至るまでの掛け合いと、常識がひっくり返される論理の展開が面白かったんであって、その推理の「真偽」は二の次。
まあ行ってみれば「黒後家蜘蛛の会」です。
多少推理が「無理筋」でも、作品のスタイルで読ませると言う・・・。
まあそういう意味じゃ作者としてはもっと推理の「中身」に注目してほしかったのかな。
それはそれで結構「そうかな?」と思わせるところもあるし。
でもそのためにこの楽しいシリーズの「型」を崩してしまったのは、僕としては残念でならない。
「恋愛関係」にあっても、関係性を維持することは可能だったと思うだけにね。
まあ読みやすいし、ネタで読ませる部分もあるので、「駄作」とまでは思わない。
でも続きが出ても、読むかどうかは、今んとこ「未定」です。