鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

2022-01-01から1年間の記事一覧

主人公たちの「距離感」が好きです:読書録「栞と嘘の季節」

・栞と嘘の季節 著者:米澤穂信 出版:集英社 シリーズ第2作 1作目(本と鍵の季節)も読んでて、面白かった記憶もあるんですが、ストーリーはすっぽり…。 で、ネタバレサイトのお世話になっちゃいましたw。 まあ、1作目読んでなくても、ほとんど関係はないん…

かなり「シャーロック」色が強くなってますw:映画評「エノーラ・ホームズの事件簿2」

ミリー・ボビー・ブラウン主演のホームズ・パスティーシュもの第2弾。 前作で事件を解決したシャーロック・ホームズの妹エノーラが探偵事務所を開設するが…と言うところから物語はスタート。 史実である女性労働者のストライキ運動を絡めつつ、女工の失踪事…

「魔法少女」の向こう側:アニメ評「リコリス・リリス」

個人的ジム・アニメ第2弾w。 この夏放映されてて、ネットで結構評判になってたアニメです。 エアロバイクしながら、快調に最後まで観ちゃいました。 高い作画技術 キャラのレベルの高さ ファッショナブルさ レベルの高い銃アクションの演出 …あたりが「見ど…

柳生宗矩。このシリーズではちょっと考えが浅いw:読書録「欺瞞 勘定侍<六>」

・欺瞞 勘定侍 柳生真剣勝負<六> 著者:上田秀人 出版:小学館時代小説文庫 時代小説で「柳生宗矩」の評価にはバラツキがあります。 「柳生武芸帳」を書いた五味康祐さんの評価はスゴく高かった覚えがあります。 山田風太郎さんの場合は「魔界転生」で十兵…

生き残るために必死に駆けたってことじゃないかなぁ:読書録「誤解だらけの徳川家康」

・誤解だらけの徳川家康 著者:渡邊大門 ナレーター:菅原公平 出版:幻冬舎新書(audible版) 来年の大河の便乗本…というと言い過ぎかもしれませんがw、まあ時期的に「だから企画が通った」ってのはあるでしょう。 徳川家康の人生で伝説化したエピソードを…

サイバーパンクの懐かしさ:アニメ評「サイバーパンク:エッジランナーズ」

最近通うようになったジムでは、有酸素運動用マシンを使ってる間、テレビやSpotify、Netflixなんかに接続できるようになってるんですよね。 50肩がホドホドになって来たので、筋力UP &ダイエットのためにエアロバイクなんかやってるんですが、その間に見てた…

世界観が広がり、捻りっぷりも相変わらず:読書録「黄金の烏」

・黄金の烏 著者:阿部智里 出版:文藝春秋(audible版) 八咫烏シリーズ第3作。 第2作まで読んで、 「続きを読んでもいいかな」 と思ったものの、手を出しかねていたのをaudibleで見つけて、DL。 シリーズは第1部全6巻、第2部が3巻まで出て継続中…とかなり…

「知識を得る」=「教養」じゃないけど、「じゃあ、教養って何?」と言われると難しい:読書録「ファスト教養」

・ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち 著者:レジー 出版:集英社新書(Kindle版) <立場が上の人(つまりはビジネスにおける意思決定を司る人)の繰り出す話題についていくことができれば、自身の印象を良いものにすることができる。それによって、自…

「あたしはどこまでもついてく、ポー」ティリーのこのセリフが痺れます:読書録「キュレーターの殺人」

・キュレーターの殺人 著者:M・W・クレイヴン 訳:東野さやか 出版:ハヤカワ・ミステリ文庫(Kindle版) 「ワシントン・ポー」シリーズ第3弾。 このシリーズは事件の謎解きも面白いんですが、いちばんの読みどころはポーを巡るレギュラー陣との関係性にあ…

図版はないんだけど、それはそれで興味深く読む(聴く)ことができました:読書録「合戦で読む戦国史」

・合戦で読む戦国史 歴史を変えた野戦十二番勝負 著者:伊東潤 出版:幻冬舎新書(audible版) audibleで聴いてると、地形や陣形なんかはピンと来ないんですが、リアル本の方では図版が収録されています。(本屋で確認しましたw) audibleでも資料をPDFでア…

ストリーミングに関して、背景がよく理解できるドラマシリーズ:ドラマ評「ザ・プレイリスト」

Spotifyの成立と普及、その課題をドラマ化したNetflixのミニドラマシリーズ。 スウェーデンの企業ってこともあって、Spotifyのことってよく分からないところあるんだけど、このドラマを見ると基本的なところが理解できます。 でもって、ドラマとしても実に面…

「明治人」やなぁ:読書録「若者よ、人生に投資せよ」

・若者よ、人生に投資せよ 著者:北康利 出版:実業之日本社(Kindle版) 日本の林学の大家であり、公園造園家であり、成功した個人投資家であり、篤志家でもある「本多静六」の伝記。 「ひふみ」の藤野英人さんが尊敬してて、北康利さんにお願いしてnoteで…

個人的にはあまり図書館は使わないんですが、図書館の社会的な機能には興味があるんですよ:読書録「私たちが図書館について知っている二、三の事柄」

・私たちが図書館について知っている二、三の事柄 著者:中村文孝、小田光雄 出版:論創社 新聞の書評欄で取り上げられているのを読んで、 「ちょっと面白そう」 と購入してみた本。 僕個人は図書館はあまり使わない方なんですが、「図書館」と言うものが社…

ソレが捨てれないのは何故なのか?:読書録「あなたの人生、片づけます」

・あなたの人生、片づけます 著者:垣谷美雨 ナレーター:白妙あゆみ 出版:双葉文庫(audible版) 先日、読んだ(聴いた)「あなたのゼイ肉、落とします」の姉妹編。 こっちの作品の方が先なんですけどね。 「ゼイ肉」の姉・大庭十萬里が、「片付け屋」とし…

相変わらずのマリコ節…でイイのかな?:読書録「カムカムマリコ」

・カムカムマリコ 著者:林真理子 ナレーター:仲村かおり 出版:文藝春秋(audible版) 週刊文春の連載エッセイ(夜ふけのなわとび)の単行本版。 33巻だそうです。いやはや。 連載の方は時々読むこともあるけど、まとめて読むのは久しぶり。 妻がファンで…

結構、観てる映画があるな〜:読書録「村上春樹 映画の旅」

・村上春樹 映画の旅 監修:早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 出版:フィルムアート社 村上春樹さんが学生時代に通い詰めたという「早稲田大学演劇博物館」で開催されている展覧会「村上春樹 映画の旅」の図録…みたいなものですかね。 作家になる前の映画の…

さて、僕のココロの「ゼイ肉」はなんだろう?:読書録「あなたのゼイ肉、落とします」

・あなたのゼイ肉、落とします 著者:垣谷美雨 出版:双葉文庫(audible版) 「いや〜、コロナ禍でゴロゴロしてて着いちゃったゼイ肉を落とさなきゃいけないと思って〜」 …って訳でもないんですがw、audibleでオススメに上がってきてたので、つい。 Amazonの…

「絵」がとにかく素晴らしいし、「殺陣」も新しい:映画評「散り椿」

監督・撮影が「木村大作」。 主演・殺陣が「岡田准一」。 この2人の才能が画面に溢れるような作品。 …なんですけど、個人的には乗り切れませんでした。 ストーリーが…。 「原作」を読んだときにもそうだったんですよね。 「分かるし、切なさも感じるんだけど…

題名で得して損してるかもw:読書録「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本を進めまくった1年間のこと」

・出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと 著者:花田菜々子 出版:河出文庫 ジェーン・スーさんが「over the sun」の中で薦めてた本。 スーさんおススメじゃなかったら題名で敬遠してたと思うんですが、読んで…

こう言うの、好きなんですよね〜:読書録「家康、江戸を建てる」

・家康、江戸を建てる 著者:門井慶喜 ナレーター:東正実 出版:祥伝社(audible版) 豊臣秀吉による徳川家康の「関東移封」。 家康の力を削るために秀吉が講じたこの策を、なぜ家康が受けたのか …については諸説あるようですが(そもそも「断れたのか」っ…

持ち物を軽くしなきゃね:読書録「超ミニマル主義」

・超ミニマル主義 著者:四角大輔 出版:ダイヤモンド社(Kindle版) 「すごいトシヨリBOOK」は、 「10年早かったかな?」 でしたが、本書については。 「20年遅かったかな」。 いやまあ、リアル20年前だと本書に書かれてるようなことはできないことも多かっ…

ジジイどもが「過去の因縁」に襲われる…という話ですが:ドラマ評「ザ・オールド・マン 元CIAの葛藤」

ジェフ・ブリッジズ、ジョン・リスゴー主演という、渋いアクション・ドラマ。 かつてアフガン戦争に関与していたCIA職員二人。 アフガン・ゲリラのリーダーの妻と逃亡したダン・チェイスと、その逃亡を手助けし、今はFBI高官となっているハロルド・ハーパー…

本を愛し、物語を紡ぐことに取り憑かれた人のために:読書録「この本を盗む者は」

・この本を盗む者は 著者:深緑野分 出版:角川書店(audible版) 最近、直木賞候補の常連さんになりつつある作者のオーディオブック。 僕はこの作者の「戦場のコック」を読んでますが、骨太な歴史ミステリーだった「戦場のコック」とは一転して、本作はちょ…

ある意味、ミニマリストへの環境を整えていく過程のようにも見える:読書録「すごいトシヨリBOOK」

・すごいトシヨリBOOK トシをとると楽しみが増える 著者:池内紀 出版:毎日新聞出版 ふと新聞の広告欄で引っ掛かって購入した作品。 …と言っても新作じゃないんですよね。 作者の池内さんは2019年に78歳で亡くなっています。 この本は2017年の出版。 70歳に…

ストーリーやテーマがポイントじゃないんだろうなぁ:読書録「勝手にふるえてろ」

・勝手にふるえてろ 著者:綿矢りさ 出版:文藝春秋(audible版) てっきりこの作品で芥川賞を受賞してるのかと思ってました。綿矢りささん。 「インストール」ですね。受賞作は。 すんません。(誰に謝ってんだかw) で、個人的「audibleで女性作家の作品を…

15作目にして、安定した面白さを維持しています:読書録「真夜中の密室」

・真夜中の密室 著者:ジェフリー・ディーヴァー 訳:池田真紀子 出版:文藝春秋(Kindle版) 「リンカーン・ライム」シリーズ第15作。 もう「安定感」には全く心配がない…というか。 ディーヴァーについては「どんでん返し」がトレードマークみたいなモンで…

「社会」と「哲学」の接点を探る…っていうのが今の流行なんでしょうか:読書録「哲学の門前」

・哲学の門前 著者:吉川浩満 出版:紀伊国屋書店(Kindle版) bar bossaの林さんのnoteでちょっと紹介されてて、「面白そう」と思って購入。 ちなみに紹介されてたのは「右派/左派」の整理のところ。 そこ自体、「引用」なんですけど。 <そんななかで、目…

どっちも「歪な世界」にも見え、どっちも「普通の世界」にも見える:読書録「コンビニ人間」

・コンビニ人間 著者:村田沙耶香 ナレーター:大久保佳代子 出版:文藝春秋(audible版) 2016年芥川賞受賞作。 評判になったのは知ってたんですが、その中でストーリーに触れてる記事なんかも読んでたので、 「まあ、こんなもんかなぁ」 と思っちゃって、…

「ミステリー」は探偵の<過去>にある:読書録「殺しへのライン」

・殺しへのライン 作者:アンソニー・ホロヴィッツ 訳:山田蘭 出版:創元推理文庫(Kindle版) 「ホーソーン&ホロヴィッツ」シリーズ第3作。 ホーソーンとホロヴィッツはある島で開催される文芸フェスに参加する。 その島では開発絡みで深刻な住民たちの分…

オーディブック向き…というのは、意外に日本近代文学の成立につながるところがあるのかも:読書録「ミチクサ先生」

・ミチクサ先生<上・下> 著者:伊集院静 ナレーター:隈本吉成 出版:講談社(audible版) 「伊集院静」は最近、「大人の教養」シリーズがベストセラーになってますが、ちょっとそのことについては思うところがなきにしも。 だって、「伊集院静」といえば…