鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「清貧」を<ジジイの繰り言>から<若者の指針>とできるか:読書録「人新世の『資本論』」

・人新世の「資本論」 著者:斉藤幸平 出版:集英社新書 「脱成長」とか言われると、(作者自身が指摘するように) 「高度成長の恩恵だけをしっかり享受したくせに、<清貧>とか言って、貧乏を次世代に押し付けようとする老人たちの繰り言」 って感じがしな…

こういうオッちゃんには引き続き頑張って欲しい…気がしないでもない:読書録「恥ずかしい人たち」

・恥ずかしい人たち 著者:中川淳一郎 出版:新潮新書 「あれ?引退したんじゃなかったっけ?」 …「セミ・リタイア」で、ネットメディアの編集からは一切手を引いた…ってことのようです。 こういう物書き業の方はどうなんでしょうね? なんか「ジジイの繰り…

「じゃあ、何してる会社なのか、分かった?」と訊かれると、「何となく…」:読書録「Learn or Die」

・Learn or Die 死ぬ気で学べ プリファードネットワークスの挑戦 著者:西川徹、岡野原大輔 出版:KADOKAWA AI(人工知能)について日本を牽引するような企業「らしい」プリファードネットワーク(PFN)について、創業者2人が説明した本。 「人工知能って、…

ヘンリー・カヴィルのシャーロックはチョット「いい人」過ぎるかも:映画評「エノーラ・ホームズの事件簿」

Netflixオリジナル(というか、コロナ禍で公開ができなくなって…って流れかな)の新作。 「シャーロック・ホームズの妹」が主人公の映画です。 「推理」よりは「冒険」って感じですかね。 ま、ドイルのホームズ自体がそういう傾向の作品ですが。 個人的な期…

「利権」という枠で括るのはもったいない:読書録「ドキュメント 感染症利権」

・ドキュメント感染症利権 医療を蝕む闇の構造 著者:山岡淳一郎 出版:ちくま新書(Kindle版) 作者ご自身の問題意識は 「今のコロナ対策で顕わになった感染症対策のミスマッチは、明治以降の日本の医療行政にある<組織の論理>や<利権構造>に根ざしてい…

スターウォーズの世界を楽しめます:ドラマ評「マンダロリアン<シーズン1>」

人間、様々なエイリアン、ドロイド(ロボット)、星々の多様な環境とそれに適して進化したクリーチャーたち、多様な文化・哲学・政治・組織… そういう多彩な「スターウォーズ」の世界観を楽しみ、その中での生活を想像する…という感じだと、この「マンダロリ…

キャラがイイ。続編が楽しみです。:読書録「ストーンサークルの殺人」

・ストーンサークルの殺人 著者:M.W.クレイヴン 訳:東野さやか 出版:早川書房(Kindle版) 停職明けの刑事、その刑事の元部下で上司になった女性警部、そして学研肌で度を越した世間知らずの女性分析官。 このトリオがすごく「イイ感じ」なんですよね。 …

Netflixでドラマ化とかして欲しい:読書録「その名を暴け」

・その名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い 著者:ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー 訳:古屋美登里 出版:新潮社 「ここまでやるのか!」 と読んでて驚くくらいでした。ハーヴェイ・ワインシュタイン・サイドの工作の方ですけど…

この「沼」にはハマらないようにして来たんですがね:村上RADIO第17回

先月もあったばかりなのに…。 いよいよ「本職化」して来ましたかね。 先週放送されたのを知らなくて、慌ててradikoでフォローしました。 例によって丁寧な書き起こしのHPはこちら。 https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/ クラシック。 「ジャズ」というふか…

こういう問題提議がされることが<変化>につながる:映画評「監視資本主義」

SNSやスマホが何をもたらしているか? そのことをIT産業のインサイダーたち(結構トップを務めた人も出演します)が強い懸念を持って語るNetflixオリジナルのドキュメンタリー。 IT企業に「悪意」があるわけではないけど、「広告ビジネス」を効率的に推進す…

長いシリーズになりそうなんで、早いとこ続編を出して欲しい:読書録「その裁きは死」

・その裁きは死 著者:アンソニー・ホロヴィッツ 訳:山田蘭 出版:創元推理文庫(Kindle版) 「メインテーマは殺人」に続く<ホーソーン&ホロヴィッツ>シリーズの第2弾。 作者自身を<ワトソン役>にして、メタ的な設定と本格推理をマッチングさせた展開…

「世界史」の穴を埋めるモンゴル帝国:読書録「モンゴル帝国と長いその後」

・興亡の世界史 モンゴル帝国と長いその後 著者:杉山正明 出版:講談社学術文庫(Kindle版) 「遊牧民から見た世界史」を読んで、ユーラシア大陸での遊牧民国家の重要性に興奮し、「風の谷のナウシカ」の読み直しから<西方>国家への興味も掻き立てられ…っ…

スタイリッシュに作り込まれた美術と、王宮時代劇と、アクション:映画評「王の涙〜イ・サンの決断」

Huluにあるヒョンビン作品の流れで視聴。 ちょっと見始めたら、途中で止められなくなっちゃったんでw。 最初に惹き込まれたのは美術の素晴らしさ。 朝鮮王宮を重厚な感じに作り上げて、そこで繰り広げられる「曰くありげ」な人間模様と、王宮のしきたり的な…

矢吹丈に「余生」はないけれど:読書録「一八〇秒の熱量」

・一八〇秒の熱量 著者:山本草介 出版:双葉社 本書に関してはこのレビューが言い尽くしてくれています。 っうか、コレ読んで、読んでみる気になたんですけどw。 <崖っぷちボクサー、狂気の挑戦> https://honz.jp/articles/-/45775 「狂気」に陥るのは、…

プリンセスの再定義と儒教的価値観の混沌:映画「ムーラン」

最近のディズニーは、「男性の愛を掴むプリンセス」というプリンセス観を再定義して、「1人の人間としてのプリンセス」を描こうと、意識的ですが、この「ムーラン」もその流れの一つ。 最もそれが先鋭的に描かれていると言ったもいいかもしれません。 その点…

いやはや、ここんとこは難しいです…:読書録「同調圧力」

・同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか 著者:鴻上尚史、佐藤直樹 出版:講談社現代新書 もうねぇ。 個人的にはこの「同調圧力」ってのが大っ嫌いで、それを避けることが自分自身の最大のテーマ(笑)だったりもして来たんですが…。 それがここに来て…。 い…

ナウシカの世界をフラフラと…:読書録「ナウシカ考」

・ナウシカ考 風の谷の黙示録 著者:赤坂憲雄 出版:岩波書店 歌舞伎「風の谷のナウシカ」をオンライン視聴するのと並行して見た番組(ナウシカ歌舞伎れんが“家“話)のなかで、鈴木敏夫さんがこの本のことを話してたんですよね。 この本の帯に、その内容が書…

公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望」が読み応えある。:読書録「公安調査庁」

・公安調査庁 情報コミュニティーの新たな地殻変動 著者:手嶋龍一、佐藤優 出版:中公新書ラクレ(Kindle版) 読んで一番面白かったのは、紹介されている公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望」。 HPで毎年報告されてるようなんですが、これが実に興味深かっ…

ヴィン・ディーゼルのアクションとCGは楽しめる。:映画評「ブラッドショット」

何となく頭を空にしたくって、Apple TVでレンタル。 「空っぽ」にして楽しむことは出来ましたw。 本国の公開は今年3月。 コロナの影響があるのかどうか、興行成績はパッとせずに終わっています。 もともとシリーズ化が前提だったようですが、続編が作られる…

壮大で、緻密で、雑なストーリーw。:読書録「三体Ⅱ 黒暗森林」

・三体Ⅱ 黒暗森林<上・下> 著者:劉慈欣 訳:大森望、立原透耶、上原かおり、泊功 出版:早川書房(Kindle版) ファーストコンタクトを描いた前作を受け、400年かけて地球へ侵略してくる異星人(三体)への、200年をかけての「対抗戦略」が本作では描かれ…

リ・ジョンヒョクの「過去」?w:映画評「コンフィデンシャル」

「ザ・ネゴシエーション」が面白かったんで、その前にヒョンビン主演で韓国でヒットしたという本作を視聴。 ヒョンビンが演じるのは「北朝鮮の刑事」。 でもって、その上司の顔を見ると…オヤオヤ? 「愛の不時着」繋がりで、チョット笑ってしまいますw。 北…