鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

僕は同感…なんですが、一般受けするかどうかは「?」:読書録「新L型経済」

・新L型経済 コロナ後の日本を立て直す

著者:冨山和彦、田原総一朗

出版:角川新書(Kindle版)

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Clubhouseでの成毛眞・田原総一朗の対談が面白すぎて(そのズレっぷりがw)、つい勢いで買っちゃった作品。

もともと冨山さんの「G型/L型(経済、大学)」には<賛成派>だってのもあります。

あんまりウケは良くないんですけどw。

 


内容は従来の「L型経済」の話を、新型コロナ対策を踏まえて、定義しなおしたって感じかな?

特に中小企業向けの融資の「徳政令」の話や、企業ルートでの福祉・補償ではなく、個人への直接補償に切り替えるべき…なんてあたりは「コロナ」を踏まえて、の主張です。

地域産業の基盤である中小企業を支援しつつ、個人を直接支援することで、需要の受け皿とならない「ゾンビ企業」の延命を防ぐって構図。

 


プロ経営者の必要性や、大企業人材の地域活用、経営者の個人保証の廃止、中小企業の生産性向上の推進(ゾンビ企業の廃業)、最低賃金の引き上げ etc etc

 


ここら辺は従来主張と変わりありませんが、「コロナ禍」を経験することで、より方向性が強く出た感じですかね。

「需要の受け皿となる企業は残す」

「需要を喚起できない企業は退場させる」

「需要の担い手である<個人>への支援を直接実施し、需要の引き上げを図る」

…こういうラインです。

「デジタル化」ってのが、大企業じゃなくて、地域経済の<リアル>を支える地域の中小企業にこそ必要…ってのも個人的実感があります。

それをしないと人材も集められないですから。

 


田原さんとの掛け合いは、まあ面白いです。

田原さんって、いい意味で「中身がない」んですよね。

だから相手を刺激することで、相手の主張をわかりやすく引き出してきて、提示することができる。

本書にもそう言う側面があります。(成毛さんの対談でもw)

 


一方で、ご本人の持っている知識や人脈が、ある意味「時代遅れ」になってしまっているので(成毛さんの指摘はココでした)、そこからの切り口は鈍くなっちゃったり、ズレちゃったりする。

本書についても、

「L型経済によって、地域の中間層を底上げし、分厚くすることで、中間層の没落によって生じる分断を回避する」

というすごく興味深い話をしてるのに、「松下幸之助」やら「田中角栄」、「宮沢喜一」「安倍晋三」「菅義偉」が出てきて、話が「G型経済/G型企業/G型人材」の話に後半、流れていきます。

話としちゃそっちの方が「見栄え」はするかもしれないけど、大切なのはそっちじゃないんだよな〜って感じでした。

それはそれで面白かったりはするんですが。

 

 

 

L型経済を支える中間層の底上げ

 


コロナ後に日本が取り組むべきは、確かにこういう方向かと。

 


そのためにも需要を生み出す<個人>を支える支援をしっかりすることと、その需要の受け皿となる企業を潰さないこと。

そして需要の受け皿となり得ないことがわかった企業については「退場」をしてもらうこと。

 


そこには「未来」が見えると思うんだけど、どうでしょ?

 


割とウケが悪いからな〜。

「L型経済」w

 

 

 

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