鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

コロナにとらわれず、本質的なところを語り合う(もうちょっとコロナについて語ってほしかった気もしますがw):読書録「何とかならない時代の幸福論」

・何とかならない時代の幸福論

著者:ブレイディみかこ、鴻上尚史

出版:朝日新聞出版

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3月にEテレで放映された対談に、秋に新たに行った対談を加えた作品。

もともとは鴻上さんの人生相談に興味を覚えていたブレイディさんからのご指名で対談が決まったようです。

 


後半の対談は、もちろん「コロナ禍」の渦中での対談になるんですが、「日本・イギリスの状況」を超えて(もちろん「事象」としてはコロナ禍でのアレコレが取り上げられるんですが)、そこにとらわれず、もっと本質的なことを語り合っています。

それが良いっちゃあ、良いんですが、個人的興味としては、もっとイギリスの状況やコロナ対策の具体的なところを教えてほしかった気分も…。

まあ、それは他のところで…ってことですわねw。

 


対談の軸としては、最近、鴻上さんがテーマとして追いかけている「世間/社会」をめぐって話が進みます。

 


世間:「あうん」の呼吸で、身内感覚の人間関係が成立しているが、同調圧力が強く、排他的

社会:法律やルールに基づいて、多様性と包摂を重んじて、多様な(人種も超えて)人間が関係性を構築する

 


…みたいな。

 


もちろん日本は「世間」が強い社会で、イギリスは「社会」が前面に出た社会。(「社会はない」といったサッチャーから、コロナから生還して「社会はあった」といったジョンソンまでの流れもあって、イギリスもそんな単純じゃないけど)

ただ一方的にどっちが優れてるって話をするんじゃなくて、

 


「日本も良いとこあるんだけど、やっぱこう言うとこはなぁ」

「イギリスもここは全然ダメなんだよね〜」

 


と行き来しつつ、それでも

 


「日本の今後を考えたら、<社会>のあり方を考えていくしかないよね」

 


って感じになっていきます。(そもそも今でさえ日本は外国人居住者の多い国ですから)

そのポイントが「教育」って言う点も含め、僕は非常に興味深く読ませてもらいました。

 


ブレイディみかこさん。

 


パンクで骨のあるリベラルなんですけど、「夢想家」ではないですね。

ブレアの教育理念・方針等には賛同しつつ(確かに紹介される教育のあり方には感心させられます)、新自由主義や緊縮財政のことは無茶苦茶「敵視」。

そこらへんで日本のネット・リベラルには反感持たれてるトコもあるようですが、個人的には通じるとこ、あるんですよね〜。

ちょっとここら辺の著作を読んでみたい気がしました。

 


あと「ブルシットジョブ」。

なんか「マックジョブ」のさらに<下流Ver.>みたいに勝手に思ってたんですが、全然違うんですねw。

こちらも興味を惹かれます。

 

 

 

<みんなやっぱり、何とかしなきゃって思ってるんですよ。だからあとは、突破口が見つかれば、それをきっかけに少しずついろんなことが変わるかも。(中略)

こんな時こそ、何かが始まるきっかけにはなり得る。その可能性は否定しません。>

 


最後のブレイディさんの言葉。

 


そうあって欲しいものです。