鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

ファンタジー・シリーズっぽくなってきた:読書録「烏は主を選ばない」

・烏は主を選ばない

著者:阿部智里

出版:文春文庫

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「八咫烏シリーズ」第2作。

前作(「烏に単は似合わない」)はファンタジーだけど、だいぶミステリー色の強い作品でしたが、こちらはファンタジー色の方が強いかな?

…と言うか、かなり「十二国記」ですw。

 


第1作・第2作は同じ時間軸の「裏表」になってるんですが、意外にそれが「効いてない」って印象を僕は受けちゃいました。

もちろん重なるシーンはあって、それはそれで「ああ、こう言う流れだったのかぁ」って思ったりもするんですけどね。

ただ前作のヒロインたちの登場シーンがあまり多くないので…。

ここはまあ、「好み」なのかもしれません。

 


ストーリーとしては本作も「ミステリー(種明かし)」の部分はあります。

でも前作ほど大掛かりな仕掛けじゃないし、設定的に「多分こうなんだろうなぁ」と推測がついちゃうところもあって。

それでも「推測がついちゃう」ところが作品としての瑕疵にならないあたり、本作がシリーズものの<序章>的な役割をちゃんと果たしてる証なのかもしれません。

前作を読んだときは、このシリーズを読み進めることに留保をつけざるを得ませんでしたが(作品の出来とは別に)、本書を読んで、「続きが気になる」気分にはなってます。

ホントに読むかどうかは分かりませんがw。

 


こういう流れで来ると、シリーズとしては「ミステリー色」は薄まってくるのかもしれません。

でもそれはそれでいいんじゃないかなぁ。

ミステリーの仕掛けの部分より、設定やキャラの方が面白く個人的には楽しめていますから。(「御前会議」のシーンは、結構ワクワクしましたw)

 


作者がそこら辺をどう思われてるかは分かりませんがね。