鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

いやはや、ここんとこは難しいです…:読書録「同調圧力」

・同調圧力  日本社会はなぜ息苦しいのか

著者:鴻上尚史、佐藤直樹

出版:講談社現代新書

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もうねぇ。

個人的にはこの「同調圧力」ってのが大っ嫌いで、それを避けることが自分自身の最大のテーマ(笑)だったりもして来たんですが…。

それがここに来て…。

 


いや、東日本大震災の時もちょっとあったんですけどね。

海外から絶賛される整然とした日本人の災害後の行動。

それはそれで確かに素晴らしいんだけど、そこには世間からの「同調圧力」もあって…。

 


そのモヤモヤが、この「コロナ対策」でまた浮き彫りになった感じ。

地域が限定されず、世界的な対応の結果が比較される中で、尚更「顕に」なっちゃったんですよね、これが。

(もちろん、「コロナ対策」の結果を云々するには、まだ少し早いかもしれませんが)

 


本書は「同調圧力」「世間」に対して問題意識を持って、それぞれ問題提起もして来た2人による対談。

時期は緊急事態宣言の出されている「2020年5月」に行われたようです。

この2人ですから、もちろん「同調圧力」のマイナス面について語り合ってるわけですが、一方で現実においては「自粛という休業要請」によって<何となく>新型コロナの感染を抑えつつもあり、その背景には「同調圧力」が最大限効果を働かせているという…。

 


もちろん「自粛警察」やら「感染者に対する差別・排除」なんかも、その悪影響としてはあるわけで、それはそれで指摘をしながらも、じゃあ「同調圧力なんかほうっぱらかして、ドンドン街に出て行こうぜぃ」とはならない訳で…。

ここらあたりの「塩梅」をどういう風に考えればいいのか…。

 


<個人>が確立せず、お互いの相対的な立ち位置から成り立つ「世間」と、

<個人>が確立した中で、個々が法的なルール等によって関係性を持つ「社会」を対峙し、

「世間」における特徴的な力として「同調圧力」を定義するあたり、結構整理もされてるし、個人的にも納得感がありました。

こういう整理とかもね。

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概ね語られてることに賛同しつつ、それでも<現状>を考えた時、「果たして<同調圧力>を排していくことが、日本社会にできるんだろうか」…とね。

その点、作者の2人も、やや「諦め気味」ではあるんですが…w。

(「世間」の向こうに「社会」を見つけていくとか、複数の弱い「世間」に属することで同調圧力を弱めるとか…おっしゃてることは「ごもっとも」と思いつつ、そういう小賢しいスタンスをも押し流すほど、「世間」は強くなってるって感じもあるんですよね。

弱い「世間」としての「コミュニティ」とか「オンラインサロン」とか、<現状>ではものすごく力を失っている印象が個人的にはあります)

 


まあ結局のところ、「塩梅」を見ながら、「世間」との距離感を測っていくしかないんですかね。

ファクトと論理を持って「世間」が求めてくる「同調圧力」を評価しつつ…。

でもって、「やべえ」と思ったら、「逃げる」w。

押し潰される前に「逃げる」。

その「逃げる」ための途を作っておくってのが、重要なんでしょうね、多分。

それがまた、難しいことは確かなんですが。