鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

逆転のスッキリ!…だけじゃない:読書録「逆ソクラテス」

・逆ソクラテス

著者:伊坂幸太郎

出版:集英社

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<伊坂幸太郎史上、最高の読後感。

デビュー20年目の真っ向勝負!>

 


…の帯の煽りに引っ掛かりましてw。

でもまあ、これが結構…。

いや、僕は伊坂作品をそこまでは読んでないんで、「史上、最高の読後感」かどうかは分かりませんが、かなり気分よく読み終えることが出来るのは確かです。

 


収められているのは短編5作。

表題作の「逆ソクラテス」は、

「ん?どっかで読んだことのあるような…」

だったんですが、これは結構前(2012年)に発表されて、そこそこ知られてる作品なんですね。

僕もどっかで読んでたんだと思います。

 


しかしその作品が頭に収められ、表題作にもなってる。

それだけの「何か」がこの短編にはあって、その「何か」が本作のテーマとして通底していると言う…。

 


<僕は、そうは、思わない>

 


それは「常識」であり、「先入観」であり、「同調圧力」であり…

それらを見事にひっくり返しながら、それでいて<自分>と<相手>を分断しない、「揺らぎ」のようなものを確実に残す。

ある意味、「逆転劇」で、その爽快感は確かにあるんですが、その「逆転」は加害者にも被害者にも許されていると言う…。

(いじめっ子にも、いじめられっ子にも読んで欲しいなぁ。岩田健太郎さんの「対策」の裏にこう言う「思想」があると完璧かもw)

 


ぶっちゃけ。

5作読んで、5回涙ぐみましたw。

 


個人的には転勤族の子供で、自分自身、転勤族だっただけに「スロウではない」に一番やられたかな。

「逆転」の鮮やかさは「逆ソクラテス」。

そして「どん底での光」と言う意味ではラストの…。

 


…是非、一読をオススメします。