・夢見る帝国図書館
著者:中島京子
出版:文藝春秋
前半の貴和子さんと主人公のゆる〜い日々が好きです。
上野近辺をぶらぶら歩き回って、露地の奥にある狭いけど居心地の良い部屋で語り合うような…
それだけに中盤以降の「ミステリー」的な展開は、興味を惹かれるし、先を読みたくなるんだけど、なんか急かされるような気がして、ちょっと残念な感じもしてました。
それが終盤になって、
「ああ、そうだったのか。
そう言う話だったのか」
と。
「自分探し」じゃない。
「自分になる」物語なんですね。
ラストの一文に、思った以上にグッと来ちゃいました。
分類しようと思えば、「フェミニズム文学」と言えるだろうし、そう言う展開でもあります。
でも僕は虚実絡めたエンタメ小説として楽しめましたし、読み終えた後の、スコンとどっか抜けて、自由な感じが好きです。
(また「帝国図書館」の歴史の方では、予算に苦慮する姿から、<知性>や<知識>に対する近代日本国家の理解・感度の低さが読み取れます。
「女性」と「知性・知識」
今の日本の課題にも通じるところがあるなぁとも)
良い小説でしたよ。