・火星年代記〔新版〕
著者:レイ・ブラッドベリ 訳:小笠原豊樹
出版:ハヤカワ文庫
中3の息子の夏休みの宿題(英語の長文)に本作が選ばれていたので、久しぶりに読んでみる気になりました。ま、僕は「翻訳で」ですがw。
(宿題はこの連作短編の中から3編が選ばれてるようです)
しかし「ねじの回転」、「紙の動物園」(ケン・リュウ)ときて、今年がブラッドベリ。
なかなか面白い選択をする先生です。
本作は多分、中学か高校の時に読んでます(旧版ですが)。
その時は「う〜ん、面白い…のかなぁ?」って感じだったんじゃないかなw。
もう「名作」の評価は定まってたから、「つまらん」とは言い切れんかったとけど、正直、その頃の僕が面白がれたかどうか…。
ストーリーらしきストーリーは全体を通してはあんまりないですからね。
今回読んで、予想以上に面白く読めたのが、ちょっと驚きでした。
短編のバリエーション、SF的なアイデア、ブラッドベリ特有の叙情性、意外な政治性etc、etc
「名作」と言われる理由が分かったような気がします。
今になって、やっとw。
「火星人」が登場する短編がやっぱり面白いんですが(「夜の邂逅」が好きです)、「人間」の弱さや怖さを描いた「第二のアッシャー邸」「長の年月」あたりが読ませますね。
全体を通してのオチは、今となっては「ありがち」かもしれません。
ちなみに息子の宿題で選ばれたのは「納税者」「優しく雨ぞ降りしきる」「百万年ピクニック」。
ちょっと先生の趣味とは合わないようですなw。
(旧版から新版への変更では短編が追加されているほか、全体の年代が31年後ろ倒しになってます。
旧版は「1999年」から年代記がスタートしてましたから。
まあでも「2030年」でも火星に移住はできないでしょうねw。
もっともそれでも本書が古びることはないでしょう。
SF…じゃないよね、コレw)