鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

こういう対談、好きです:読書録「世界の辺境とハードボイルド室町時代」

・世界の辺境とハードボイルド室町時代

著者:高野秀行、清水克行

出版:集英社文庫

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ノンフィクション作家(辺境作家w)・高野秀行と日本中世史専門歴史家・清水克行による対談。

ハードカバーで出版された時、話題になってたし、秀逸な題名にも心惹かれたんですが、どちらの作品も読んだことなかったんで、逡巡しちゃったんですよね。

で、文庫化されたのを契機に購入、と。


現代世界の「辺境」と日本中世、特に「室町時代」には似たところがある!

なぜ「辺境」(例えばソマリランド)でこんな風な社会風習が出来ちゃったのかを考える上において「室町時代」のことを参考にすると分かることが結構あるし、

「室町時代」の風習や社会制度が、どんな風に具体的に動いているのかを想像する上において、「辺境」の実態を勉強すると、見えてくるもがある


…ってのがベースになっている対談。

お互い、

「自分がやってることって、結構マニアックで、他の人には解ってもらえないんじゃ…」

と薄々思ってたところが、

「意外なところに同志が!」

みたいな感じになるのが楽しいんですよね。(実際、対談後も二人の友人関係は継続しているようです)


たまたまツイッターで「二人の作品って似てる」って感想(その感想を投稿した翻訳家(柳下毅一郎)が解説を書いてますw)を見た高野氏からのアプローチで対談をするようになったようですが、一気に「同好の士」として盛り上がっていくのがいいです。

そういう意味じゃ、「一回限り」の面白さではあるかもしれませんね。

(別の意味の面白さはあるでしょうが。なんで、続編にも興味アリ、です)


僕自身はこう言うの、

「面白ぇ」

と思うし、「室町時代の混沌」なんかも、

「ワクワクする〜」

って感じなんですが、自分がそう言う立場になりたいかと言うと、

「真っ平御免」。

(椎名誠とか好きだけど、「キャンプ行こう!」にはならないと言うタイプw)


…なんで、すみません。

読んで楽しんではいますが、コレで「辺境に行こう!」と言うのにはならないんです。

「食」の方には興味あるんですけど…。


でもまあ、こういう「辺境」や「過去」から「現代」が見えてくる…ってのはワクワクします。

僕らは「時代の制約」から自由になることはできないけど、その「制約」を相対化することはできる。

こう言う本にはそういう役割があるんですよね。

その上、読んでて楽しいしw。


それぞれの主要作品も、読んでみるかな〜。


PS  それはそうと、そろそろ「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」、電子書籍化してくれませんかね、新潮社さん。