鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

小説が書けるようにはならんと思いますが:読書録「北村薫の創作表現講義」

・北村薫の創作表現講義  あなたを読む、わたしを書く

著者:北村薫

出版:新潮選書

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「中野のお父さんは謎を解くか」を読んで、

「やっぱ、上手いね。北村薫」

と改めて思い、Amazonを検索した特に目に付いた作品。

2008年の出版。

ある時期まで僕は「北村薫」の熱心な読者だったんですが、電子書籍に重点を置くようになった時期から、ちょっと距離をおくようになっちゃったんですよね。北村さんは電子書籍化しないんで。(宮部みゆきさんなんかも同様)

その頃に出版された作品で、だからスルーしちゃったのかな。


05年、06年に北村さんが早稲田大学で講義をしたものをまとめた作品です。

「創作表現」ということで、もちろん「小説を書く」ということがメインになるんですが、それだけじゃなくて、詩や短歌、朗読なんかも含めて論じつつ、「読む」ということにも「創作」を見出すような流れになっています。(副題のあたりがそんな感じですね)


まあ、相変わらずの博覧強記。

それが嫌味なく披露されているのに加え、編集者や歌人なんかをゲストに迎えてインタビューしたり、コラムを書かせてみたり…と、「講義」としての仕掛けを楽しむことも出来る作品です。

いや、ホント久しぶりに電車の駅を乗り過ごしそうになりましたw。(編集者のインタビューのあたりで)


「講義」そしてそれをベースにした「本書」。

それ自体が「北村薫」の<創作表現>になっているんです。(もちろん北村さんは意識的でしょう)


<この本の面白さがわかる人は小説が書けます>(帯の宮部みゆきさんの推薦文)


いや、それはないけどねw。