・中野のお父さんは謎を解くか
著者:北村薫
出版:文藝春秋
文芸雑誌編集者の娘と国語の高校教師の父のコンビによるシリーズ第2作。
(第1作の感想はこんな感じ。
<中野のお父さん>
http://aso4045.hatenablog.com/entry/20150913/1442141982)
作者お得意の「日常ミステリー」ですが、内容がドンドン文学界・書籍絡みの<謎>になっていくと言うw。
ここら辺は「ビブリア古書堂」にも通じますが、あのシリーズほど「重く」ならないのがこのシリーズの味ですね。
(同じ作者の円紫シリーズには「重さ」がありますが)
「ビブリア」がベストセラーになったことなんかも考えても、古書をめぐる物語に一定のニーズがあるのは確かでしょうが、まあでも「万人に受ける話」とは思えません。
尾崎紅葉の死に際しての泉鏡花と徳田秋聲の軋轢…とか、そもそもこの三人の作品を読んでる人が少ないでしょうw(僕も紅葉と秋聲は読んだことないです)。
個人的には「円紫」シリーズの初期の頃とか、「覆面作家」シリーズとかの、一般受けするエンタメ路線も好きなんですが、北村薫さんが書きたいのはこっちの方なんでしょうね。
それはそれで楽しめるから、悪くはないんですが。(さすがに父君の日記をベースにした文学史譚<いとま申してシリーズ>にはチョットついていけませんでした)
ちなみに本書では「『100万回生きた猫』は絶望の書か」が僕は一番面白かったかな。
ちょっと理由は違うけど、僕も「100万回生きた猫」には違和感を感じる部分もあったので。
別にだからどうって話でもないんですけど。
ヒロインのちょっとした恋愛にも繋がりそうな人物が登場して、ストーリーが少しずつ動いてもいます。
続編が出たら、また読むでしょうね、こりゃ。