・甲子園という病
著者:氏原英明
出版:新潮新書(Kindle版)
「8/24発売」と言うのは、「忖度」ですかね。夏の甲子園決勝「後」ですからw。
100回記念大会となった今年の夏の甲子園。
盛り上がりました。
他人事じゃなく、僕自身、金足農の快進撃を中心に、ここ数年ないくらい試合結果をフォローした覚えがあります(1試合も見なかったのは、この10年くらいと同様ですが)。
それでも本書に挙げられたような「課題」は、やっぱりこの大会にも出て来ましたね。熱中症のリスクが高かっただけに、より強く指摘される局面もあったと思います。
それでもやっぱり、流れとしては、「甲子園という病」に大勢は埋もれていったようにも感じていますが。
この点に関しては「連投問題」を中心に、多分論点は明らかになってると思います。その「悲劇」も十分に認識されている。
(何人かの指導者も自らの「誤ち」を語ってくれてます)
<高校生の成熟しきっていない精神状態では、将来のことなど頭から消えていくというのが現実なのだろう。日々の厳しい練習を乗り越える部活動の仲間がいて、甲子園という存在がある。選手の意見は一つにしかならないというのが実情なのだ。
高校生がそうしたマインドになることは避けられない。だとしたら、考えなければいけないのは、そうした高校生を止められるだけの大人の意見や環境づくりではないか>
全くその通り。多くの人がそのことに気づいていて、指摘もしている。
それでも変わらない/変えられないこその「病」。
僕自身は、朝日新聞・毎日新聞というリベラル寄りと位置付けられるマスメディアがこの、実に「日本的」な状況を生み出す「高校野球」を主催していることに一番の問題を感じています。
真にリベラルであれば、彼らこそがココにメスを入れなければいけないでしょう。
そこにメスを入れず、「感動ドラマ」で問題を覆い隠してしまうあり方には、メディアとして欺瞞(それが言い過ぎというなら限界)を覚えざるを得ません。
この点は同じように「感動ドラマ」を大量生産する他のメディアも同罪だし、それを楽しむ一般人(僕も含みます)も同罪ではありますが、ね。
もちろん本書の出版にあるように、少しずつ「変化」の芽はあるように感じます。
あんまり暑かったからってのもあるでしょうが、例年以上にそういう論調も多かったように思いますし。
であれば、この機会に大胆な改革を、と言うのが僕の意見。
関係者と色々協議も…?
関係者の理解…?
いや、そのスピード感こそが問題じゃないの?
課題は明らかであり、「今」現時点において体を酷使している若いプレイヤーがいる。
そこに手を打てなくて、ジャーナリズムと言えるんですかね?
マジでそう思っています。
本書はナカナカ興味深い作品です。バンバン実名あげて、批判してるのにはチョット驚きます。(だからこそ出版タイミングは忖度したのかもしれませんw)
しかし真に朝日や毎日がジャーナリズムを標榜するのであれば、本書は朝日か毎日で出版されてしかるべきだったと思います。
そりゃあ、「甲子園」
ビジネスとして大きいのは分かりますよ。
しかし「若者の身体を酷使して設ける」って、どれだけブラックなんですか。
そのことを直視しないでキレイゴト言っててもアカンやろ…ってのが、僕の感想です。
(投球制限とセンバツの廃止。ココかな~)
PS あるアマ指導者の話。
「いまのプロ野球界をみていて残念だなと思うのは、指導者として経験のない人を監督にするときがありますよね。阪神の金本知憲監督や巨人の高橋由伸監督はそうでしたよね。あれはおかしいですよ」
ホンマ…。