・これからの政治をゼロから考えよう 穏やかに民主主義を取り戻すための5つの論点
著者:佐々木俊尚
出版:Amazon Publishing(Kindle版)
電子版のみでの出版。
電子版のページカウントがどうなってるかわかりませんが、「63ページ」設定。
「199円」ですが、Kindle Unlimitedでも読めます。
それだけ「広く読まれたい」と作者は考えてるんでしょうし、それに価する作品と思います。
ワイドショー化したポピュリズム的な流れと、SNSを中心として罵詈雑言が飛び交うネット空間、その狭間で「権威」を失っていくマスメディアや政治勢力…
そう言う中で「政治」を改めて機能させるには、どう言うことを考えていくべきか、ってことを論じている作品です。
少し前の作者の論調だと、リベラルへの厳しい筆致が目立ったんですが(それが必要だったタイミングも確かにありました)、本書では安倍政権やその周辺にも厳しい指摘をしており、バランスが取れた内容となっていると思います。
…と言うか、「バランスが取れていること」、中庸こそが作者の主張の根幹であるとも言えるんですがねw。
「5つの論点」は以下。
論点1:権力は「強大」なのでしょうか
論点2:誰が正義を決めるのでしょうか
論点3:助けられるのは誰でしょうか
論点4:誰が政治を担うのでしょうか
論点5:民主主義に未来はあるのでしょうか
専門家にとっては物足りないところはあると思いますが、考える「入り口」としてはいいんじゃないでしょうか?
僕自身、こういうことは色々な局面で考えてもきたんですが、その自分の考えの整理としても役に立ったし、主張も大筋において賛同できる内容です。
…なんですが、それをどう「実現」して行くか。これが難しい。
確かに手に取りやすい価格だし、頭に入りやすい内容・構成になってます。でも、「本当に読んで欲しい人」は、こう言うの読まないんじゃないかなぁ、と。(ワイドショー化したニュースを自身の価値判断としてる人とかね。…言い過ぎ?)
「信頼」をベースにしたコミュニティ的なつながりからの取り組みを作者は念頭に置いているような気がしますが(そう言う取り組みもされてますし)、それ自体が「党派性」の罠に陥ってしまう危険性もあると思うんですよね~。
それにそうしたコミュニティ間での意見交換や情報交換、議論を行う「場」をどういう風に実現して行くのか。
「場」そのものが「党派性」を帯びないためには、どうすればいいのか。
…う~ん…。
でも、そんなことは作者も承知の上。
それでも信頼に支えられた「場」を作っていこうと、色々行動され、試行錯誤してるように見受けられます。
この姿勢こそが一番重要なんだと思いますし、その中で本書を世に問うことで、自分自身の取り組みが「党派性」に囚われないための「楔」(自戒)としてる面もあるんじゃないかな、と。
(深読みしすぎ?w)
まあ問い掛けの重さの割には、気楽に読める一冊です。
Kindleをお持ちの方は、是非。