鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

予想以上にガチw:読書録「武士の日本史」

・武士の日本史

著者:高橋昌明

出版:岩波新書

f:id:aso4045:20180716204440j:image

 

HONZの書評を読んで、面白そうやな、と思ったんですよね。

http://honz.jp/articles/-/44837

ファナティックな「サムライ」アピールやら愛国心主張に、チイと疲れて来てるってのもあってw。

 

しかし予想以上に内容が学術的にシッカリしてた本でした。

「武士」に関する最新の学説をベースにした知識としては、コンパクトかつ理解しやすく整理してくれてます。

とは言え、ガチな内容ですので、読みやすくはないなw。

プールサイドで一日で…と思ってたんですがw、そんな気楽には読み飛ばせなかったんで、連休最終日に時間取って読み終えました。

 

「武士の日本史」って、日本以外に武士なんておらんやろ。

…ってのはありますがw、歴史から、武器、戦闘の仕方、社会制度への組み込まれかた、思想性…と、一冊に「日本史」がまとまってます。

 

HONZで取り上げられているのは第4章以降。

それまで学術的な成果を積み上げて論じて来たのが、特に5章や終章では、主観的主張も混じって語られるようになります。

…と言うか、「コレが言いたいから、それまでは史実を積み上げて来たんだ」ってのが作者の気持ちですかね。

「武士道」とか「士道」を日本古来のもののように言って特別視する風潮があるけど、それってどれだけ歴史的根拠があると思ってんの!

…みたいな?w

その「熱」がHONZ評者にも伝わったんでしょう。

 

僕自身は愛国心はパーソナル寄りであって、それが国家や組織で高らかに謳われる時には、まずは警戒すべき…と思ってます。

ナイーブ過ぎ?

まあそうかもしれません。

でも一方で日露戦争後、「事実」から目を逸らし、過度に精神性を重視した果ての亡国の歴史を思えば(ここら辺のことも語られてます)、「愛国心」で史実や客観事実・分析に目を瞑るのは、結局「国を損ねる」ことに通じるんじゃないかと。

「いつか来た道」…って言い方は、コレまた定型すぎて、思考停止になりかねないとも思いますがね。

 

<我々は日本が武の国とか日本人は勇敢な民族だとかいう確かめようのないプロパガンダに乗ぜられるのではなく、むしろ「軍事面での勇敢さ」を不要とする、平和と安全保障の国際関係、国際環境を構築する方向で、それこそ勇敢に、粘り強く努力すべきである。いわずもがなのことだろうが、日本の武士の歴史を学ぶのには、そういう今日的な意味もある。人文科学は役に立たないという昨今の風圧もあるので、あえてそういい切っておく。>

 

結びの一節。

言いますなぁ〜。