鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

ちょっと、どっちつかずのところも:読書録「マルチナ、永遠のAI」

・マルチナ、永遠のAI  AIと仮想通貨時代をどう生きるか

著者:大村あつし

出版:ダイヤモンド社(Kindle版)

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小説家であり、エクセルのマクロ言語の解説書も書くほどIT関連に造詣の深い作者による近未来小説。

東京オリンピックが終了した数年後の世界を舞台にして、AIやブロックチェーンがどんな形で社会の中に活かされるようになっているかを描くシミュレーション小説に加え、AIとの関係性を核としたSF小説の趣きもあります。

 

まぁ、この2つの方向性が錯綜する中で、なんとなくどちらもどっちつかずになっている感じもするんですよね。

個人的にはAIをはじめとしたIT技術がどういう風に社会の中で活かされていくか、シミュレーション的近未来小説の方を期待していました。

でも、作者としてはAIと人間の境目と言う命題に興味があったんですかね。

主人公のロマンスもまじえ、結構そこら辺に関する物語が語られています。

個人的には、コレが余計かなぁと… 。歳のせいかもしれませんがw。

 

(AIと人間というテーマが、小説家にとって興味深いのは分かるんですけどね。

ただここら辺は「her」や「エクスマキナ」の方が上手く描いてると思いますよ)

 

新しい技術がどんなふうに社会の中に組み込まれていくかというのをこういう風に小説仕立て描くと言うのは、結構いいんじゃないかと思います。

それこそ「論理」だけではなくて、「感情」にも訴えることで、読むものによりリアリティを持ってもらう効果が期待出来ますから。

ただ、それだけに「ロマンス」方面に足を取られず、技術や社会描写にもっと踏み込んで欲しかったなぁと思うわけです。

 

もっともそうなると煽りの「ビジネス青春小説」にはなりませんがw。