鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

いやぁ、面白いw。:読書録「官僚たちのアベノミクス」

・官僚たちのアベノミクス  異形の経済政策はいかに作られたか

著者:軽部謙介

出版:岩波新書

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どなたかが「リアル版シン・ゴジラ」と評しておられたのをドッカで読みましたが、まさに。

もっともアチラはゴジラを止めて国を救いましたが、on the wayのアベノミクスが国を救うかどうかの答えはまだ出ていません。

作者自身は、

<アベノミクスの評価を真正面から論じていない>

と書かれていますが、「異形」と言う言葉を選択する時点で、「ネガティヴ評価」なのは確かでしょう。(「異形」の意味もチャンと説明されてますが)

そこら辺のことは「終章」(「アベノミクス」とはなんだったのか)に強く出ています。

 

僕自身は「アベノミクス」を評価しています。

と同時に、転換点にも来てるかな、と。

やはり「三本の矢」の「規制緩和」が問題でしょう。大企業の内部留保が積み上がっていることが問題視されていますが、(企業自身のトライの精神の課題もあるにせよ)投資すべきビジネスモデルを打ち出しにくい環境があるのも確かかと。

そこを突破させるべく「規制緩和」を大胆に行う必要があるのに、そこが効果的に進まない。

そのうちに「一強」の驕りからか政策運営や行政の不手際がボロボロ出てきて、その「火消し」にロードを取られて、なおさら大胆な取り組みが出来なくなって来ている。

…僕の認識はこうです。

あくまで個人的認識ですよw。

 

そう言う政権や政策に対する賛否は別として、

「政権・政治家が打ち出す政策理念が、官僚組織でどんな風にして議論され、政権や政治家との緊張感の中から具体的な政策になっていくのか」

その過程を「読み物」として本書は実に興味深く描いています。

いや、ホント小説やそれこそ映画みたいで面白かったですよ。

もっとも「結論」はないんですけどw。

 

作者は安倍政権には批判的であり、アベノミクスにもネガティヴ。

僕も上記のように現段階での政権運営には懸念を持っています。

しかし「政策」が作るあげられる過程として、本書で描かれるようなプロセスがおかしいとは、僕は思いませんでした。

選挙で選ばれた政権を無視して、官僚が勝手な方向に進んじゃうのは、そっちの方が問題でしょう。

(もちろん盲従や忖度wしろってのではなくて、異論があれば組織として議論すべき…と言う意味です)

 

ではどこでチェック・アンド・バランスが働くのか?

 

<その答えとしては、あまりにも常識的ではあるが、国会の熟議とメディアの監視、そして最終的には民意を正しく反映できる選挙制度のもとでの国民の審判ということ以外に思い浮かばない。>

 

その延長戦での現状のメディアへの懸念も含め、僕もそう思います。

「あまりにも常識的」だけど、それが凄く難しいことになって来ているという認識とともに。