鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

前半の今の教育制度改革の方向性の説明のところが興味深かったです:読書録「最強の子育て」

・不安な未来を生き抜く最強の子育て

著者:佐藤優、井戸まさえ

出版:集英社

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僕の上の息子が今中学1年生。下の娘が小学5年生。

二人とも2020年からの大学入試改革後の入試を受けることになります。

センター試験がなくて、記述式の問題が多くなる…などと断片的な事は知ってるんですけど、全体の大きな流れがどうなってるかはいまひとつ頭に入ってない。

そういう中での本書。

予想以上に興味深く読むことができました。

 

<現在の教育は1979年に共通一次試験(大学センター試験の前身)の導入によって作られた形だ。その結果マークシート式の試験が普及した。この方式だと受験者が正確な知識をもっているか否かについては判断できるが思考の過程を検証することができない。また記述能力が低下する。思考力や表現力を児童、生徒が主体的に育むことができないので、グローバリゼーションが急速に進み変化が激しい社会状況に対応できなくなる。そのため、2021年1月に「大学入試共通テスト」が導入され、2020年度に小学校、2021年度に中学校、2022年度に高校の学習指導要領改訂が行われるのだ。この方向性は基本的に基本的に正しいと私は考えている>(おわりに  佐藤優)

 

基本的に今回の改革の方向性を佐藤優を評価しており、その観点から全体的な方向性・ベースにある環境認識、狙い等を井戸まさえさんを相手に語っています。

「なるほどな〜」

って感じ。

個人的に危惧を感じている現在の教育のあり方について、結構今回の改定が手を打ってきていというのがわかって、ちょっと驚きでもありました。

 

もっとも今の教育現場の状なんかを考えると、その意図通りに対応できる教員を確保できるかどうかって言う点については、留意して行く必要はあると思いますけどね。

(「ゆとり教育」にもそういう側面があったと思っています)

ここら辺、制度設計と制度運営のギャップの部分で、割と文科省はここがうまくないと言う印象があります。

 自分の子供が、その大きな流れの中にはまることになるので、何とかうまくやってほしいとはもちろん思ってるんですが…。

 

後半については、改革の中身から離れ、教育論的な内容になっています。

井戸さんの政治活動にも触れる点なんかもあったりして、こっちのほうは「ある面」では賛成でき、「ある面」では「?」といったところでしょうか。

 

それにしても、佐藤優さんは、「勉強」と言う点についてはかなりオーソドックスで保守的な考え方の持ち主ですな。

学生の本分は勉強である。

これには全く賛成。(…かつての自分を省みると、頭を掻くしかありませんが)

 人口が減っていき、先んじて労働人口が減少していく中で社会が豊かさを維持していくためには、一人ひとりの生産性を今以上に上げていく必要性がある…と言うのは共通認識としてあると思います。

そのベースとなるのが「論理力」。

それを支えるのが国語と数学であり、ベーシックなこの部分の能力を身に付けることが確実に必要となる、それを踏まえた教育制度改革がなされると言うのであれば、個人的には期待しても良いのではないかと感じました。

 

となると、課題は制度運営の方。

まぁ、こっちのほうもかなり問題なはずなんですが、本書ではあまり触れられていません。

ここは政治家である井戸さんの出番だと思うんだけどなぁ。

そこが読み終わっての不満として残りましたかね。