・保守の真髄 老酔狂語る文明の紊乱
著者:西部邁
出版:講談社現代新書(Kindle版)
昨日、大阪の自宅から単身赴任先の金沢に戻る新大阪駅の中で西部さんの逝去を知りました。
多摩川に入水。
なんとも…。
とは言え僕自身は西部さんの作品は読んだことないですよね。もっぱら朝ナマを中心としたテレビでの活躍を知っているだけ。
もちろん、独特の保守派の立場をとっているのを知っていましたし、ある種の教養人であると言う認識もありました。
で、ちょうど新大阪の駅の本屋でこの本を見かけ、Kindleにダウンロードしました。
この機会に、1冊位は読んでみようかなと。
本作は娘さんの口述筆記ということです、ちょっとは読みやすいのかなあとも思ったというのもあります。
…いや〜、全くだめでしたw。
半分ぐらいまでは何とか追いかけて行ったんですが、ギブアップ。
もしかしたら辞書とか引きながらゆっくり読んだらもうちょっとわかったかもしれませんが、そこまでお付き合いできる気力が生まれませんでした。
すみません… 。
こういう知識人の作品を脳に汗をかきながら読むと言う時代じゃなくなってきてるのかもしれません。
いや、時代のせいにしちゃいけませんね。僕が不勉強だけ。
でもそれが許される風潮になっていると言うのは確かだと思います。と同時に、こういう知識人に対する尊敬の念が社会全般として薄くなってると言うのもあるんじゃないでしょうか。
ただここまでくると、西部さんのような知識人と我々の間には大きな「溝」ができていると思わざるをえません。
そして、社会は西部さんのような知識人がいなくても何とか動くようにはなっている。
「前に進んでいる」とはチョット言い切れませんが。
保守派として西部さんが大切にされる「伝統」と「バランス」に対する感覚。
今こそそれが必要なのかもしれませんし、世界的にもある種の閉塞感が生まれつつあるのは、そうした部分がうまく機能ししていないためなのかもしれません。
そういう意味では、西部さんのような人の活躍がまた望まれるようになってきてるのかもしれないんですけどね。
ただその役割を担うには西部さんは疲れすぎてたんでしょう。体調も悪かったようですし…。
正直言えば西部さんが考えていたような事を僕のような人間に「通訳」してくれる存在があればいいなと思います。
どんなに素晴らしいことを考えていたとしても、それが伝わらなければ何かを変えていく事はできません。
残念ながら、西部さんの話を理解するには、あまりにも勉強が足りず、時間もない。
じゃぁ、聞く耳を持つ者だけが自ら勉強し、ついてくればいいのか。
でもそれじゃぁ、目の前の騒擾に振り回されるだけの人々が自分の考えを変えることは期待できないんじゃないかなぁと。
そんなこと言ってちゃダメなんだよな。
西部さんにはそう言われるかもしれませんけどね。
結局、1冊も作品を読む事は出来ませんでした。ごめんなさい。
…ご冥福を。