鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

行き着く先は「攻殻機動隊」w:読書録「人工知能は資本主義を終焉させるか」

人工知能は資本主義を終焉させるか  経済的特異点と社会的特異点
著者:齋藤元章、井上智
出版:PHP新書

人工知能は資本主義を終焉させるか 経済的特異点と社会的特異点 (PHP新書)

人工知能は資本主義を終焉させるか 経済的特異点と社会的特異点 (PHP新書)


スパコン開発者(齋藤元章)と経済学者(井上智洋)が、人工知能が経済や社会にどういう影響を与えるか、について対談した一冊。
井上氏の「人工知能と経済の未来」は興味深く読ませてもらったんで(http://d.hatena.ne.jp/aso4045/20160727/1469618617)、「対談」ならもっと気楽に読めるだろうと思ったんですが、これがなかなかw。
特に前半の「経済」パートは<読み飛ばし>にならざるを得ませんでした…。


特異点」。
いわゆる「シンギュラリティ」ですね。
カーツワイルが唱えるところでは「2045年」にその時が来るとなってるんですが、井上氏の方はその点についてはやや懐疑的。
一方、齋藤氏のほうは「もっと早い可能性も」…というスタンスのようです。
ただ二人とも2030年頃にはなんらかの大きな変化がもたらされると考えているようで(「プレ・シンギュラリティ」と称しています)、それを前提に話は進みます。


井上氏はこの「プレ・シンギュラリティ」を「汎用人工知能ができる」というタイミングと考えています。
ただこの「汎用人工知能」はまだ「人類」を超えるような存在にまでは至っておらず、その利用が広がる中で労働力の置き換えは起こるが、「人類」の理解の範疇を大きく超えるような存在になるか、については「?」というところでしょうか。
<機械>と<労働(人)>が生産活動に投入され、<生産物>ができる「機械化経済」(今の「資本主義」)から、
AIとロボット(<機械>)が生産活動に投入され、<人>は研究開発のみで<生産活動>に関与するという「純粋機械化経済」
へと移行していくというのが井上氏の見立てです。


ここら辺は前作とも繋がってるので理解しやすいんですが、その前段で「ヘリコプターマネー」について論じられ、<お金>や<経済成長>について語られてる部分。
ここがサッパリ、だったんですよね。
ま、僕の「勉強不足」ですがw。


齋藤氏が中心になって論じる「社会的特異点」は、相当に<未来>な感じです。
BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)」なんかになると、もはや「攻殻機動隊」の世界。
(<BMIが実現すると、人間の脳とコンピュータがまず繋がります。そのコンピュータがハブになって、また別の人とつながることができるようになるわけです。>)
その先は「人類が一つの知性」となるという、「幼年期の終わり」というか、なんというか…。
「不老」も含め、そういう時代が「すぐ目の前に来ている」というのが齋藤氏のスタンス。
なんか、「シンギュラリティ」どころじゃないような気もしますが…w。


まあ、先のことは分かりません。
「そんなバカな」
ってことが現実になって来てるのも確かですからね。
そういう意味では科学技術にも知見のある二人の意見というのは耳を傾けるべき点もあると言えばあるのかもしれません。


ちょっと面白そうですしw。