鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

確かに書いてありました:読書録「御社の働き方改革、ここが間違ってます!」

・御社の働き方改革、ここが間違ってます! 残業削減で伸びるすごい会社
著者:白河桃子
出版:PHP新書


2週間ほど前、ある団体主催の作者のセミナー(テーマは「働き方改革」)を聞く機会がありました。
「婚活時代」は読んでましたし、政府の委員として「働き方改革」に関与されてることも知っていたので楽しみにしてたんですが、なんか「通り一遍」のことを立て続けに喋るだけのような…。
挙句に「この本(本書)に書いてあります」。
…う〜ん、新作の宣伝かいな。
セミナーの前に本書は購入してて、セミナー後に読もうと思ってたんですが、なんとなく気勢を削がれ、2週間ほど放ったらかし。
ちょっと「働き方改革」について考えなきゃいけない機会が来たので、「まあ読んでみるか」とようやく渋々読み始めました。


…すみません。確かに書いてありました。タップリと。
で、これをあの時間(1時間半)で披露するのは、そりゃ無理ですな。
振り返ってみれば、本書に入るための「イントロダクション」としては、あのセミナーはそれなりの意味はあったようにも思います。単に僕がチョットひねくれてるだけでw。


もっとも「働き方改革」について、何か目新しいことが書いている訳ではないです。ある程度フォローして来た人にとっては「既視感」もあるでしょう。
ただ現段階で「女性の活躍推進」から「生産性」にウエイトが移りつつある「働き方改革」の現状がよくまとまっていること、
作者も関与して来た「働き方改革実現会議」の成果である「残業上限規制」の意義(経営者へのインパクト)が分かりやすく論じられていること、
そして先行して働き方改革に取り組んでいる企業の実例が多く紹介されていること
ここら辺が本書の「読みどころ」ではないかと思います。


個人的にはダニエル・キムの「成功の循環モデル」と「働き方改革」をリンケージさせてるあたり、興味深かったですね。
「生産性向上」のためには、個人の能力アップももちろん必要ですが、「短い時間で成果をあげる」と言う視点からは、「チーム・ワーキング」が重要と僕は考えていて、「関係の質」の構築が一丁目一番地と思ってるんですが、同じようなことが本書でも主張されています。
もちろん僕なんかよりも、もっと分かりやすく、的確に解説されてますけどねw。(その図表は今度使わせてもらおうかなと思ってます)


あと「資生堂ショック」についての解説も参考になりました。
もちろん報道になった内容は知ってたんですが、単に「女性に優しい人事制度をやめた」って話ではなくて、女性が従業員の大半を占める職場において、育児・介護等による「制約ある社員」と、それ以外の社員の職場環境・処遇をどうバランスを取るべきかがそこにはあること。その解決のためには、家族(夫)のサポートが不可欠になるが、(他社に働いてる「夫」の)「長時間労働」がその最大の障壁になると言う現実。
見渡せば僕の職場も女性の比率がドンドン高まっています。「資生堂」さんが他人事ではなくなる時代が、すぐ次の角には訪れている気配。
産休・育休、職場復帰、時短労働、職場の要員配置etc、etc
いや、すでに他人事出なくなって来つつある面もあるか。


長時間労働に法的な上限規制を科す」
「経営者が資本を長時間労働削減に投入するように促す」
「男女ともに生産性を向上させるとともに、働き方・生き方を見直す中から出生率向上への可能性を模索する」
…こう言う流れが確かに今、論議されています。
今は二段階目に差し掛かったところ。もちろんこの「実行」が一番難しいですが、今後の人口減少時代を考えても、会社としての人材確保という意味でも、これは真剣に取り組んで行かなければならないと考えています。


不安要素は「安倍政権」かなw。
磐石と思われていた政権基盤が揺らぎつつある今、なんか「上限規制の法制化」に及び腰になったりなんかしちゃうと、このシナリオは停滞することになります。
でもそれって国としての生産性向上のキッカケを逃すことになりかねないんですけどね。ちょっと、そこらへんに懸念材料が出て来てる…ってのが「働き方改革」の政治的な現状ではないかな、と思ってるとこです。
中産階級を守る」という安倍首相の言葉が本心であれば、そうはならないとは思いますが、はてさて…。
大企業の方は、優秀な人材確保という視点から生産性向上の取り組みは推進していくと思ってはいるし、僕の職場を考えると、やっぱりこれは早急に進めていくべきこととは考えてますけどね。