鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

この目でどこまで見れるかは分かりませんが:読書録「2050年の技術」

・2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測する
著者:英『エコノミスト』編集部 訳:土方奈美
出版:文藝春秋


「85歳」ですからね。2050年w。
ただ今いろいろと身の回りでも変わりつつあることが実感されてることもあって、「さて、どんな感じで技術が進展して行くのかな?」と言う興味で読んでみました。
先行する「2050年の世界」の方は読んでないんですけどw。


制約と可能性(技術発展の方向性…かな?)
産業と生活
社会と経済


という2つのパートに分かれて、18章の切り口+SF短編2編で構成されています。
各章はそれぞれの専門家によって書かれ、簡単なサマリーもつけられていて、理解しやすくなってます。
(もっとも「基礎科学」について論じられた章についてはサッパリ理解できませんでしたがw)


自動運転とかAIとかエネルギー、人工食料等々、どれも興味深い内容ですが、一番最初に身近な変化として出てくるのは、VR・ARかなぁ。
これは、
「電算機」が大型メインフレームからパーソナルコンピューターになって個人が使えるものとなり、
それが情報通信と結ばれ、有線から無線での接続となることで、「スマホ」に集約され、
バイスー通信ークラウドというネットワークの力を個人の身近なところで活用できるようになった「進歩」の先にあるものです。
(ここまでの過程の重要な部分をアップルが担って来たことを考えると、改めてジョブズのビジョナリーぶりに驚かされます)
ある意味、「個人」が「環境」に接続する過程ですね。IoTなんかも絡んでくる話。


VRやARなんて、ゲームの世界の話


まあ、今はそうですが、「これから」を考えると、ここは看過できないとこなんじゃないかな、と。
今のヘッドセットを買う気にはなりませんが(肩凝りそうだしw)、グラス型のものが出て来たら、やっぱり欲しいなぁ。
コンタクトレンズになると、ちょっとまた怖い感じもしますけどね。


本書は技術発展については基本的にはポジティブスタンスだと思います(AIについてもゲイツやマスクに反論しています)。
ただ完全に楽観的かというと、そうでもなくて、
<本当に起こりうる問題は、テクノロジーの暴走ではなく、それを扱う人間の暴走である。>
「人間次第」という訳ですね。
収められている短編2編が「発展した技術」をテーマにしていながらも、どこか人間の複雑さを描いているのも、象徴的です(小説だから当たり前とも言えますが)。
僕自身も、近いスタンスですね。
「注意」は払った方がいいとも思ってますが。